シャーロック アントールド・ストーリーズ 9話
≪あらすじ≫
謎の宿敵、守谷壬三に繋がっていた安蘭世津子(長谷川京子)に目の前で死なれた誉獅子雄(ディーン・フジオカ)の衝撃は小さくないようだ。そんな獅子雄を、若宮潤一(岩田剛典)、江藤礼二(佐々木蔵之介)は小暮クミコ(山田真歩)の誕生日をダシに外へ連れ出そうと計画。若宮はベッドで毛布に包まる獅子雄に声をかけるも断られるが、絶対に来いと先に出た。
若宮、江藤、クミコが集ったのは、とある有名イタリアンレストラン。獅子雄がなかなか来ないことに苛立つ若宮。そこに、ソムリエの加藤茂(田邊和也)に案内されて獅子雄がさっそうと登場し、いつものように嫌味を告げながらオーダーへ。身銭を切る江藤は一番安いコースを促すが、獅子雄はアラカルトを頼みだす。ところが店の看板料理が用意できないと加藤に言われてしまう。
その時、加藤が個室の客、高津みずえ(遊井亮子)に呼ばれる。個室には料理評論家、大石万作(升毅)とカメラマンもいた。取材で来ているのに、看板料理がないことに不満をもらすみずえは、シェフの古賀智志(大友康平)が不在なのかと問う。すると、加藤は店の体制はいつもと同じだと答えた。大石も料理に文句をつけだすと、その声に、客の不破凛子(島かおり)、達彦(綾田俊樹)は不快な表情。別の客、中原聖子(峯村リエ)も、大石に声を落として欲しいと注意した。ギスギスした店内で、若宮は盛り上がって来たと獅子雄をうかがう。予約も取りにくい有名店の味が変わり、名物料理が出せないのはなぜか?その謎を推理してみようと言う若宮。すると、獅子雄は、今日、店がオープンする前に異常事態が起こったと指摘して・・・。
(公式HP STORY より抜粋)
≪感想≫
限定的なクローズドサークル状態での殺人事件。
ミステリとしては小粒感もあるものの、テーマ性としては一貫していて面白かったと思う。観ていて感じたのは、テーマが「愛」だということ。
今回、関係者の中で料理評論家、雑誌編集者、実業家、パティシエは真相を知らされることなく退室させられた。それは全てを見抜いていた獅子雄が、結末を知るに値しないと判断したからだろう。ならその判断基準はなんだったのか? たぶんそれはこの御店を、シェフを愛していたかどうかだったのだと思う。愛しているというと日本語としては大げさに聞こえるかもしれないが、要するに好きだったか、大切に想っていたかということ。
最後まで結末を聞けた人たちはこの店とシェフを愛していた。シェフのために人を殺し、遺体を隠した。まぁ、パスタ担当の眼鏡くんを該当させていいかは微妙なところではあるが、彼としても本意ではなかったと考えることも出来る。借金さえなければあんな男の言い成りになんてなってなかったのだろう――その証拠に、彼はソムリエが仲介に入った途端、レシピ帳をちゃんと元の位置に戻していたのだから。
「愛」と言う部分は他にも見受けられる。ダシに使ったとはいえ、普段から世話になっているクミコの誕生日を獅子雄が祝ったことは変わらないし、最後に若宮へデザートを用意させたのも獅子雄だ。
別れの時は近い、と意味深なナレーションもあるが――それが本当かどうかはともかく――その限りにおいては、獅子雄なりの身近な人たちへの不器用な愛情表現と考えられないこともない。
単独犯ではなくそれぞれのエゴと愛によって成り立ってしまった犯罪という部分含めて、楽しめた一話だった。
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