映画『ジェミニマン』

(公式ホームページ)
ウィル・スミス主演。超一流ながら老いには勝てないベテランスナイパーが引退を決意すると、とある内情を知ったそのスナイパーを始末しようと送られた暗殺者はそのベテランスナイパーの若い頃の姿をした青年――クローンだった、というもの。
いろいろ調べると映画の企画そのものは1990年代に出たものらしく、観終えて「なるほど」と思う内容。良く言えば懐かしく、悪く言えば古めかしい。確かにクローンは今なお人道的な問題などから禁忌とされているが2019年の今となってはそこまでSFとしてインパクトがあるネタとは言い難い。これが計画通り90年代か、あるいは00年代初頭に公開されていればまた違っていたのだろう。
この作品におけるポイントはたった一つ。
雑さだ。
例えば、ストーリーの雑さ。クローンと対峙するという内容において、正直老いた方と若い方のどちらに肩入れするかといえばどちらにも肩入れも共感も出来なかったのが本音。「クローンの自分と戦えるか」と言う割に、どちらにもそこまで相手と戦うことにはそこまでの苦悩はなかった気がする。そう言う意味でもう少し下地・土台が欲しい。置いたベテランスナイパー・ヘンリーが、相手が自分のクローンと知って自分のクローンを救うと決めるまでだったり、そのクローンである「ジュニア」が養父であり黒幕でもあるヴァリスではなくヘンリーを信じるまでの経緯だったり。そういうのが足りない。
ただ良く言えば、テンポは良い。サクサクと、「細けぇことは良いんだよ」って感じで進んでいくのは観ていてリズムが良い。なのでそこはテンポを重視するか、ストーリーを重視するかで評価は分かれそう。
あるいは、設定の雑さ。ベテランスナイパーだというが、中盤でのアクションはスナイパーというよりシンプルにソルジャー、あるいはアサシン。スナイパーである意味ってなんだったのかと思ってしまう。
あとは、DIA(アメリカ国防情報局)のエリートだと言うヒロインの銃の腕前が、ベテランスナイパーのヘンリーと大差ない(笑 相手の銃弾はほぼ当たらずこちらの銃弾はバンバン当たる流れは、90年代ならまだしもさすがに現代では違和感。
そしてそのDIA含む陰謀的な要素をほぼスルーして終わっている点が、ね。確かにラフに肩肘力を入れずに観る分にはちょうどいいエンターテイメント、娯楽映画なのだろうが、ちゃんと観てみるとその中身の薄さに失望感も出てしまう。
評価は、★★(2点 / 5点)。
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