病弱探偵 謎は彼女の特効薬

作:岡崎 琢磨 発行元(出版):講談社
≪あらすじ≫
高校一年生の貫地谷マイは、年中体調不良で欠席ばかり。彼女の数少ない生きがいは、自室のベッドでミステリー小説を読みあさり謎を解くことだ。マイの同級生・山名井ゲンキは、お見舞いのついでに学校で起こった事件を、ベッドサイドに送り届ける。奇妙な六つの謎の真相と、ほのかな二人の恋の行く末は!?
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
タレーランシリーズなどで知られる岡崎さんの文庫化作品。
感想としては、「相変わらずキャラクターを魅力的に描くのが上手じゃないな」というものだった。「安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)」ならぬ「寝台探偵(ベッド・ディテクティブ)」という表現も面白いし、設定も面白い切り口だと思う(この設定でやるならもう少し病気や薬系のトリック、ミステリを期待したかったが)。日常ミステリとしては、まぁギリギリ及第点といったところでもあるのだけれど、問題はその「舞台」の上で演じる「キャラクター」。
感覚的には「浅い」というか「軽い」という印象。読了感が悪いというか、ストーリーが後味のあまり良く無い終わり方のものが多いせいもあるけれど、そこと一つのエピソードの前後に差し込まれるマイとゲンキの申し訳程度の恋愛要素とのギャップが言葉通り(悪い意味として)酷い。
っていうか、恋愛要素はこの作品には要らない。どうしても入れたいなら最初から付き合ってるくらいでちょうど良い。文章の書き方からおそらくどこかで一つずつ短編として描いたものを一冊に纏めたのだと思うので、その時にはこれでも違和感はまだ少なかったのだろうが、いざ一冊になった時にはやはりこの二人の恋愛要素というのは違和感が強い。
これでもう付き合っていて、死語だけどラブラブくらいだったらマイの傍若無人っぷりも、まぁツンデレ的な一種として観れるしそれを二つ返事で受け入れるゲンキもまぁ「惚れた弱み」なんだけど、そうじゃないからそういった要素の悪い部分だけが妙に浮き彫りになってしまっている。
それにすでに付き合ってる状態の方が文章や展開ももう少しすっきり纏められるかな、とも思う。
後はリアルにここまで病弱だとたぶん進級出来ないよな、と(苦笑 そこをエンターテイメントと割り切るならストーリーにももう少しエンターテイメントらしい結末(ハッピーエンドとまで言わなくとも、後味の良いストーリー展開)があるべきだと思うし、今のストーリー内容のままならいっそマイは病弱というより仮病とか引きこもりとかの方が良かったかな(まぁ、名前をそれにモジっているので変える必要はあるが)。
評価は、★★(2点 / 5点)。
同じ本の書評を書かれているサイト(敬称略)
・新・たこの感想文
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