虚構推理短編集 岩永琴子の出現

著:城平 京 発行元(出版): 講談社(タイガ文庫レーベル)
≪あらすじ≫
妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺死体を捨てた犯人の動機だった。―「ヌシの大蛇は聞いていた」山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。―「幻の自販機」真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
虚構推理の短編集。
短編集ならではの展開と組み合わせとリズム感といったところか。確かに長編でやるには少しライトなネタかなというものが多く――というよりも、むしろ長編でやるよりも読みやすい形に上手く収まっている印象。
そして、改めて「虚構の推理」というものを実感できる短編集だと思う。
結局、推理=真実を詳らかにするものというイメージが私たちの中にはどうしてもある。けれど、この作品はそうじゃない部分も大きい。依頼してくる妖怪たちや、怪異に携わってしまう人たちに対して「最も納得してもらえる答えを用意する」ということが主軸であり、それを本作では「推理」としているのだ。
確かに推理と言う言葉を分解して考えれば「理を推しはかる」わけだから、これは「推理」という単語を使って間違いがあるものでもないしね。
真実のための推理ではなく、
正義のための推理でもなく、
秩序と平和のための推理。
そんな本作の良さが出ていた一冊だと思う。
あとは、キャラクターの個性が良いよね、この作品。
評価は、★★★★★(5点 / 5点)。読みやすく、キャラクターの個性も、作品としての独自性もしっかりある。キャラクターノベル的な部分が強いので万人に薦められるかは微妙なラインだが、ライトミステリを楽しめる人ならオススメ出来る一冊だと思う。
同じ本の書評を書かれているサイト(敬称略)
・新・たこの感想文
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