密室の鍵貸します

著:東川 篤哉 発行元(出版): 光文社
≪あらすじ≫
しがない貧乏学生・戸村流平にとって、その日は厄日そのものだった。彼を手ひどく振った恋人が、背中を刺され、4階から突き落とされて死亡。その夜、一緒だった先輩も、流平が気づかぬ間に、浴室で刺されて殺されていたのだ!かくして、二つの殺人事件の第一容疑者となった流平の運命やいかに?ユーモア本格ミステリの新鋭が放つ、面白過ぎるデビュー作。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
東川篤哉さんのデビュー作にして、乃木坂文庫でも取り上げられている作品。最新作を基本読んでいるため、デビュー作を読むという機会がタイミングが合わないとないだけに貴重な機会となった。
デビュー作ではあるが、全体的に東川さんらしいというか、ミステリなんだけどそこにコミカルさがあるという部分では基盤というか土台みたいなものはあったのだな、と再認識。語り部を自ら務めることによって、コミカルさを多分に演出している点もとても「らしい」と思った。
ただリーダビリティという部分ではちょっと低めか。場面展開含めて考えられてはいると思うんだけど、ややテンポが悪いようにも感じた。
しかし、ミステリとしては良く考えられていて、どんでん返しは多い。まぁ、主役である流平があまりに迂闊なせいもあるんだけど(笑 ただそれを差し引いても、時間差アリバイのビデオトリック、密室を解くための内出血トリックと上手く組み合わせている。最後の動機に関してはもう少し伏線が欲しかったかなぁというところだが(笑
評価は、★★★(3点 / 5点)。コミカルミステリ、コメディミステリとしては及第点。
同じ本の書評を書かれているサイト(敬称略)
・新・たこの感想文
Comment
Comment_form