東京すみっこごはん

著:成田 名瑠子 発行元(出版): 光文社
≪あらすじ≫
商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒屋は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの料理を共に食べる“共同台所”だった。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人、妻への秘密を抱えたアラ還。ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる“すみっこごはん”の秘密とは!?美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心をときほぐす連作小説!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
行きつけの書店に行ったら、なんだか女性アイドルが表紙のタイトルがずらりと並んでいると思ったら乃木坂46とのコラボで光文社が「乃木坂文庫」ということをしているようだ。ここまでしないと今は本が売れないんだなぁと思ったが、一方で「ここに出ている作品は光文社が売り出したい作品なんじゃ?」とも思った。読んだことがある本もあればない本もある。そういう意味では、一つのきっかけかなと思って何冊か手にとってみた。
さて、本作であるが日常系と言って良い作品(ちなみにすでにシリーズ化されている)。「ごはん」とあるが、あまりレシピ系の作品ではない(そういった要素が全くないわけではないが)。それを通してキャラクターたちがどう変わっていくか、といったところの方に主眼が置かれているので、どちらかといえば青春系の作品なのかもしれない。
親がおらず祖父に育てられた少女、行き遅れと焦るアラサー女子、目的を失った海外留学生、娘と行き別れたアラ還暦男性。そういったものを通して、最終的には一冊の本として纏まっている。纏まっているというか、最期は泣かせに来ているなと言う感じなんだけどね(笑
そこに関してはちょっとあからさまなところがあるので、賛否はあると思う。ただこの一冊でしっかりと完結に導いている点は忘れないでほしい。「あわよくば、売れれば続編を」みたいな作品が多い中で、この作品はしっかりこの一冊で完結しているのだ。すみっこごはんの秘密がしっかりと最期にある。それを私は高く評価したい。
読んでいるとやや心苦しいというか、不快感を抱くシーンもあるのだけれど、それに見合うだけのカタルシスもある。そう言う部分でリーダビリティは高い。
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。
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