秋田殺人事件

著:内田 康夫 発行元(出版): KADOKAWA
≪あらすじ≫
第三セクター「秋田杉美林センター」の欠陥住宅問題と、県が同社に追加融資した巨額の金の行方に揺れる秋田県。県政のイメージを一新するため副知事に抜擢された望月世津子のもとには、怪しい警告文とともに、謎の焼死事件に関する記事が送られてきた。「やつらにやられた」と言い遺したにもかかわらず自殺とされた死の真相は?世津子の私設秘書として同地に赴いた浅見光彦が政治の闇に鋭く斬り込んだ傑作社会派ミステリー。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
浅見シリーズ。
他シリーズとの違いは、光彦に明確な肩書があるところか。肩書は「秋田県副知事秘書」。当初からその副知事を通して兄・陽一郎からの依頼というのも他シリーズからの明確な違いか。明確な事件のモデルがあるというのも珍しい?
そうした中での本作。ある意味でいつも通り。警察に対しての辛辣っぷりが凄い。正直読んでいた時は、「組織にいることはそれはそれで大変さもあるのに呑気な主人公だ」とモヤモヤしていた部分もあったのだけど、最後に陽一郎が「フリーな人間は難しくなったらすぐに逃げれて楽で良いな」と苦言を呈せば、光彦も自分の「逃げ」な部分を猛省するシーンがあるなど、留飲を下げる部分もあったのはプラスか。
あとは気になったのが、秋田県と言う土地をちょっとこき下ろしてしまった感があることか。旅情ミステリは地方・土地を舞台とするので、基本的にはそういった部分をリスペクトというか尊重した書き方をしているのだけど、今作は割と手厳しい。最後など一部でフォローもあるにはあるんだけど、これじゃあこの作品での秋田県へのマイナスイメージをプラスは愚かプラマイゼロにすら持っていけないだろうなぁ、と(苦笑
とはいえ、著者である内田さんからすると「第四の故郷」と言うほど親しみがある土地らしいので、「だからこそできた」という部分もあったのかもしれないが。
評価は、★★☆(2.5 / 5点)。
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