鄙の記憶

著:内田 康夫 発行元(出版): KADOKAWA
≪あらすじ≫
静岡の寸又峡で、TV局の記者久保と、作家を自称する男が相次いで殺された。久保の記者仲間・伴島は、遠く秋田で起きた素封家の死が事件に関係していることを掴む。だが、大曲の「庄屋様」横居家に向かった彼も忽然と姿を消してしまった。久保夫人の依頼で事件に関わった浅見光彦は、伴島の後を追い秋田へ―。横居家の美少女・光葉の謎めいた瞳の奥底に宿るものとは、そして、大曲の花火大会の夜に何があったのか。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
浅見光彦シリーズ。
珍しい点としては静岡、秋田とかなり遠い地域の行き来があること(結果的にそれが「貴賓室の怪人」シリーズに繋がる点は面白い)、メインヒロインと呼べる人がいないこと(全くいないわけではないが、未亡人だったり登場がかなり遅かったり)といったところか。
あとは著者も書いていたが、序盤は伴島メインといったところでむしろ光彦が出てこなくても、とすら思ってしまう内容も興味深い。
逆に初期の頃から感じさせるのは警察批難だろうか。現代で読んでいる私とはちょっと執筆時の感覚や価値観が違うのかもしれないが、相変わらず光彦の警察批難は的外れ。だが、そんな的外れでワガママお坊ちゃまな批判をする辺りが浅見光彦が浅見光彦たる所以か。
そうしたところでミステリとしては「面白い人」がキーワードに。ただこれを「面白い人」と言ってしまっていいのかな、というのは苦しさも覚える。
結末はちょっとダークというか、うーんやや不幸話っぽいのが読了感を少し悪くしてしまっている。ネタバレを避けるので明言は避けるが、母親は一命をとりとめても良かったのではないだろうか。
評価は、★★☆(2.5点 / 5点)。
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