閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎

著:木元 哉多 発行元(出版): 講談社(タイガ文庫)
≪あらすじ≫
空から彼女が落ちてくる。受け止めようとして―俺は死んだ。イケメンで名を馳せる大地は、イジメを受ける少女・神里に初めての恋をし、振られた。しかし彼はくじけない。イジメの原因を調べるうちに、学校の屋上から神里が落ちてきて―。俺の死はともかく、彼女の死は絶対に許せない!覚悟を決めた大地は蘇りをかけて、閻魔大王の娘・沙羅と霊界の推理ゲームに挑む!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
閻魔堂シリーズ第五弾。
一つ目は怪我が原因で一度は引退した天才バドミントン選手に纏わる事件。与えられた情報だけで推理出来るかというと、なかなかに難しさもあるが、でもまぁとっかかりはあるか。劇中でも指摘されていたように、犯人だけは態度が全然違うし、誘拐された少女が残したメッセージを読み解けば犯人には辿り着けるのかも。
二つ目は学園一とも言われるイケメンが、初恋の人を追い掛けていたら起きた事件。なんというか、地味で目立たなくてイジめられいた子を助けてみたら、その子の素顔がめちゃくちゃ美人で一目ぼれとか、ホント漫画だよね(まぁ、これもフィクションの小説なんだけど)。ただ、そういったテンプレ的なものを上手くミステリに絡めていたと思う。
ミステリとして論理的に答えに辿り着けるかというとかなりキワドイルートかもしれないが、出来ないことはないだろう。そういう状況証拠はしっかりと揃っていたと思う。伏線の張り方が上手かった。
三つ目は当然想定される結末の一つながら今まで一度もなかったもの。まぁハッキリ言ってしまうと推理失敗パターン。当然、これは推理ゲームをしている以上あり得る話であって、私たちが知っているエピソードではほぼ推理に成功しているがたぶんこうして推理に失敗している人もいるんだろうな、と思った。
でもミステリとしては絶対に分からない答えだと思うわ(爆 これで論理的に辿り着けと言われてもねぇ……。まぁ、沙羅が「それはある」と言ってるのだから、それを踏まえた上で推理しないといけないんだろうけど…。
ただまぁ沙羅も推理時間を10分ではなく3分にしているし、最初から生き返らせるつもりはなかったのかも。その辺りは、前作でも感じたが沙羅は(著者は)結構潔癖なのかな、とは思った。極限状態でも倫理・道徳に正しい行動を取らない犯人を悪だという一方で、過去の被害者が極限状態でしていた暴言や弟を放置して趣味に走っていた状況・理由を悪とはせず天国送りしているダブルスタンダード、あるいは矛盾さに違和感が拭えない。まぁ、これはあくまで価値観・主観の差でしかないが。
評価は、★★(2点 / 5点)。失敗パターンは興味深いが、もっと純粋に失敗させる内容でも良かった気がする。
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