かがやき荘西荻探偵局

著:東川 篤哉 発行元(出版): 新潮社
≪あらすじ≫
西荻窪のシェアハウスで暮らす、葵、美緒、礼菜。お金も色気もないアラサー女子三人組が、探偵やるなら滞納家賃は相殺という話に飛びついた。杉並大豪邸で起きた事件から、深夜に回る洗濯機の怪、週末だけの秘密ミッション、「西荻向上委員会」からきた紳士……。謎解きは、時々ぐだぐだ呑み会と化すのがお決まりだけど、あれ?解決のヒントが! ゆるめなお喋り推理が心地よいミステリー。『かがやき荘アラサー探偵局』改題。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
『謎解きはディナーのあとで』などの東川篤哉さんの新作。単行本ではすでに続編が発行されている。
家賃を滞納する三人のアラサー女子。そのオーナーから探偵として活動することを条件に滞納している家賃を相殺してくれるという。その話に、ミステリ大好き女子・葵、謎の方言を話すおおらか女子・美緒、女子高生コスプレイヤー・礼菜の三人は食いついてくる。彼女たちに訪れる謎とは?
というストーリー。
ストーリーは短編集と言う形。それ自体はとても読みやすい。ややコミカル過ぎるかなというシーンもあるけれど、全体的にはさすがのリーダビリティ(読みやすさ)。
ただ最後の三編目がちょっと変化球だったので、そこはちょっと早いかな、とも。もちろん、続編が出る保証なんてないわけだからネタは出し惜しみせずに突っ込んでいくべきだとも思うのだけど、一方で「啓介が法子経由で依頼を持ち込む⇒三人娘が苦戦しつつも探偵⇒葵が閃いて真実へ」という流れは貫いても良かった気がする。
キャラクターはさすがの東川さんという感じでとにかく個性が強い。もちろん良い意味でね。ただ素直にキャラクターはこの半分で成り立つな、と思った。ぶっちゃけ、語り部であるお調子者の啓介。その雇用主である法子。そして探偵役の葵。これで基本は普通に成り立ってしまうところが苦しい。もう少し、美緒、礼菜の強みが欲しいか。例えば礼菜ならコスプレによってあらゆる場面で潜入可能な情報収集能力を持つとかさ。
総評は、★★★(3点 / 5点)。 及第点といったところかな――次回作が出たら読みたいとは思えるくらいには。
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