孤道 完結編 金色の眠り

著:和久井 清水 原案:内田 康夫 発行元(出版): 講談社
≪あらすじ≫
殺された鈴木の祖父で、名家の当主・義麿が綴ったノートを託された浅見は、事件の核心に迫る記述に引き込まれていく。戦前の阿武山古墳盗掘疑惑、考古学者同士の対立、新たな殺人―。さらなる悲劇を招いたのは、「藤原鎌足の秘宝」なのか?内田康夫の筆を継ぐ新人が、誰も予想しなかった結末に読者を誘う!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
病気により筆を置くことになった内田康夫さんが、完結編プロジェクトの最優秀作品となったのが本作。
元よりプロットらしいプロットを作らずに執筆するスタイルだったという内田さんなので、そこからの完結編というのはなかなかに難しいものがあったとは思うが、大枠では「浅見光彦」シリーズとしての体裁は保てていたと思う。
そもそもにして本作の原案とも言うべき『孤道』が、古代史を題材にしているところもあって難しい。それを考えれば(受賞後に大幅加筆・修正しているらしいが)纏まった方か。
ただ、やはり著者が違えば細部への異なる点、こだわりの違いは視えてしまう。
例えば今作、やたらと「軽井沢のセンセ」こと内田康夫さんが登場する。どちらかといえば浅見シリーズにおいては三枚目的なキャラクターだったが、亡くなった内田さんへのリスペクトなのか登場回数が多く、さらに光彦へヒントを出すシーンも。リスペクトだとは思うのだが、浅見シリーズとして観た時にはやややり過ぎか。
あとはリスぺクトという部分では、光彦と所轄刑事とのやり取り(その後、光彦の素性がバレるところまで)はあって欲しかったかな、と思うところ。
そういうところ含めて、ちょっと「あれ?」と思う違和感も随所に。正直、あんまり著者は読んでないのかな? と思うところも。
でも、結末は……らしいといえばらしいかな。普通に考えたらあり得ない結末だけど。
評価は、★★(2点 / 5点)。難題だとは思うが、上手く纏めていると思う。ただもう少し既存作へのリスペクトが欲しかった。
Comment
Comment_form