札幌殺人事件(上巻・下巻)


著:内田 康夫 発行元(出版): KADOKAWA
≪あらすじ≫
ススキノのクラブ「ユリアンヌ」に時折現れる謎めいたプロモーター白井。彼が一人で飲んでいる夜に限って、店に白井宛の電話がかかってくる。ママにとっては妙に気になる客であった。一方、浅見光彦が捜索を依頼された失踪人・戸田は、その白井の身辺を探っていた。戸田が残した不可解な盗聴テープに興味を惹かれ、浅見は札幌へ飛ぶ。次第に姿を曝す北海道開発の巨大な黒い利権、タブーに近付く浅見光彦にも危機が。
(上巻裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
浅見光彦シリーズの一つで上下巻。
北海道を舞台としたもので、どちらかといえばミステリというよりはサスペンスに近いか。なので『横浜殺人事件』だったかな、あれに近い感覚ではあった。
またそういった要素にしたのは、著者である内田さんの銃規制・銃社会への警鐘という意味合いが強いのかな。あまりネタバレを書くのもアレではあるけれど、こういった結末というのはなかなか浅見光彦シリーズでは目にしない結末だと思う。
それは結末だけでもないか。
最終的に光彦に何が出来たのかと問われれば、なんだったんだろう、とも思ってしまう。彼が北海道に乗り込んだことで、もちろん事態は明るみにはなったのだろうけれど、運命を大きく変えるものだったかというと微妙な感じもあって、そういった「浅見光彦」が生まれや能力がどうあれ所詮はフリーのルポライターの一人でしかないというところも切なさと言うか虚しさみたいなものもあったのかもしれない。
全体的には終盤に連れてテンポが良くなって加速していく、という形は従来の浅見光彦シリーズと同じ。ただ前述のようにあまりミステリという感じは強くなく、サスペンスドラマのようであった。これは地名がつけられているけど、旅情ミステリとはちょっと言いづらいというか細かく言うとジャンルが違ってきそうな感じではあった。
評価は、★★(2点 / 5点)。
Comment
Comment_form