医學生 神戸朔太郎の解剖カルテ 第1巻

著:綾峰 けう 発行元(出版): KADOKAWA(KADOKAWAコミックス)
≪感想≫
表紙とあらすじで買ったコミックス。
明治時代を舞台にした医療ミステリ。法医学がまだそこまで認知されていない時代に、死体を解剖・検死することで犯人を突き止めようという作品になっている。
周囲には内緒にして男装し警察官をしている警部・天野と、死体大好き――むしろ生きている人間、とりわけ死ぬ間際の人間をトラウマ的に嫌う医學生・神戸という個性の強いキャラクターが、なかなかに凸凹コンビ的に機能。相応の権力を持つ天野と、高い知識を持つ神戸という組み合わせは王道と言えば王道だが、なかなかにテンポよく物語を進めてくれる。
ミステリとしては、神戸の知識と斬新な切り口で犯人を暴いていく、と言うスタイルになる。その中で、コミックス内で著者も書いているように、明治時代と言う舞台を踏まえ極力当時の知識や見識によって描かれる。例えば、事実かどうか私には分からないが「ジャック・ザ・リッパー」を模した事件の際には的確に子宮を摘出され惨殺された変死体に対して、「子宮の存在やその位置を的確に知っているということは、医学に精通している人間」と犯人像を導いている。現代だと、人体のある程度の構造は一般教養になっているし、ネットと言う情報源もあるのでこういった「犯人の絞り方」はし辛い部分だが、この時代だからこそ出来たことと言えるような気がする。
なかなかに興味深い終わり方もしたことだし、今後に大きく期待したい。
ただし、解剖カルテとあるようにグロ注意!
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