彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone?

著:森 博嗣 発行元(出版): 講談社(タイガレーベル)
≪あらすじ≫
ウォーカロン(walk-alone)。「単独歩行者」と呼ばれる、人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。
研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。
人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
アニメ経由で『すべてがFになる』を読んだくらいだったが、どことなく「自分とは趣向が合わないかな」と思って避けてきた森博嗣さんの作品。ちょうど読みたいと思えるほどのものがなかったこともあって、「まぁ、タイガシリーズでこの程度の厚さ(文量)」ならと思って。
SFテイストが強い。如何せん、あらすじのように「ウォーカロン」という人工細胞造られた、その誕生経緯以外なにも人間と変わらない生命体がいて人間は人工細胞の普及で半永久的に生きられるようになった代償として子供を作れなくなって世界人口が右肩下がりに減る一方、という世界だからね。
当然そこには人間とウォーカロンの関係性、ウォーカロンに対する認識などの問題が生まれる。しかし、そうした「架空の未来」の「架空の問題」のはずだが、突き詰めるとそれは私たち現代の人たちにもしっかりと当てはまるテーマとして描かれているような気がする。
ただ、シリーズ作品であるためこの一巻目だけで何かを評価する、というのは難しい。作品自体が続くことが前提なので明確な答えがハッキリとあるというわけでもないし、むしろ読めば読むほど謎は増えて行く。
それでも何とも言えない引力がある作品だと思った。ぶっちゃけて言わせてもらえば、「めちゃくちゃ面白い」と声を大にして言えるほどではないのだけれど、「次が読みたい」とは思える中毒性というか、上手く言葉に表現は出来ないけれど興味深い一冊だとは明言出来る魅力が確かにある。
評価は、★★★★(点 / 5点)。
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