遺譜 浅見光彦最後の事件 上巻・下巻


作:内田 康夫 発行元(出版):KADOKAWA
≪あらすじ≫
本人の知らぬ間に企画された浅見光彦34歳の誕生日会。初恋のひとである稲田佐和との再会に心躍る浅見は、美貌のヴァイオリニスト、アリシア・ライヘンバッハからボディガードを頼まれる。一度は断ったものの、陽一郎からの要請でアリシアのコンサートが行われる丹波篠山に赴くことに。彼の地で彼女の祖母の遺譜を捜索するが、手がかりの「インヴェ」につながる男が殺され浅見に嫌疑がかかり!?国民的名探偵“最後”の事件! (上巻)
美貌のヴァイオリニスト、アリシアから「遺譜」捜索の依頼を受けた浅見光彦は、依頼の裏に戦前日本とドイツまで遡る陰謀があることに気づく。浅見家にも繋がる「遺譜」に隠された盟約と、陽一郎の暗躍。真相を確かめるため赴いたドイツで、アリシアの祖母から明かされた哀しい事実は浅見の大義と正義を揺るがす。70年の時を経て甦る陰謀に、浅見家の人間として下す究極の決断とは―。国民的名探偵が迎える衝撃のラスト! (下巻)
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
上下巻。浅見光彦シリーズはほとんど読んでいなかったのだが、知人に薦められて(本も貸してもらえたので)読むことに。いきなりシリーズ最終巻(?)を読んでしまうのもどうかと思うが…。
上巻では歴代のヒロインたちや関係者が顔を見せるので、シリーズ作を読んできた人には感慨深いところもあるのだろう。そうでない私にとっても十分魅力的なキャラクターたちだと実感できるのはやっぱり巧い。リーダビリティも高く、サクサクとページが進む。
下巻では光彦がアリシアを送るがてらドイツへ行き、そこからさらに真実を知ることで自分の周囲に張り巡らされている「とある罠」に気付いていく過程が描かれていく。
ハッキリ言ってしまえば、ミステリーとしてはちょっと物足りなさを覚えてしまった。浅見光彦シリーズが全体的にこういったものだったのか、本作だけがこうなのかは分からないけど、もう少し謎解きらしい謎解きがあっても良かったと思う。確かに謎を解くための着眼点みたいな部分は光彦が出したところもあったけど、どちらかと言えばこの情報を知る人は誰かを考え、その人に教えてもらって真実を知るだけ、と言う形に終始している感じ。だから物足りない。ミステリーと言うよりはサスペンスに近いかも。
結末もちょっとあやふやにした感じは賛否あるかも。終わらせる気があるならきっぱり終わっても良かったと思うが、浅見光彦という存在が旅を続けるべきというのは感覚として「そうかも」とも思うしね。
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。壮大なスケール、シリーズ最後というに相応しい形なのだろう。欲を言えばもっとミステリらしい方が好みか。シリーズを読み続けた人ならもっと点数は高いかもしれない。
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