魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

作:東川 篤哉 発行元(出版):文藝春秋
≪あらすじ≫
若手刑事・小山田聡介は『八王子署の椿姫』こと椿木綾乃警部(39歳独身)に蹴られることをこの上ない楽しみとするドMの(実は)キレ者。彼がおもむく殺人現場にたびたび現れる謎の「家政婦」美少女の正体は、実は魔法使い「マリィ」―。本格ミステリと魔法がまさかの融合を遂げた、新シリーズ第一弾!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
最初に続編を読んでしまったので。
続編での状態を知ってしまった上でどこまで楽しめるかと思ったけれど、予想以上に楽しめた。楽しめたっていうよりも、この最初の時点から「倒叙ミステリ」「魔法で自白、証拠は閃き」「犯人に一度は逃げられ痛い目を視る」といったテンプレはしっかりしていたので「最初から完成度が高い作品なのだな」と再認識した。
こちらではまだマリィは、小山田家の住み込み家政婦ではないので、彼女が事件現場にいる、容疑者の一人と関係があるというところがどことなく強引かな。まぁ、だからこそラストでは小山田家に引き取られ、続巻では小山田家の家政婦として動いているからこそ事件へ首を突っ込むのも理由づけとしては今作より良くなったのだろう。
全四篇の短編集だが、三番目の「二つの署名」はやや無理さを感じたか(笑 四番目の「代打男のアリバイ」も微妙っちゃ微妙だが、まぁ倒叙式のミステリだし「どうやって証拠を集めて突きつけるか」に特化しているわけだから、その部分はしっかりしていた、のか? ちょっと甘さを感じた気もしたので、そういった部分でも続巻の方が完成度は高かったのかも。
評価は、★★☆(2.5点 / 5点)。あまり手を付ける人がいない倒叙ミステリなのでそういう意味では今後も続巻を期待したいし、出れば「とりあえず読んでみたい」とは思える。
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