スタイリッシュ武器屋

著:弘松 涼 絵:切符 発行元(出版):主婦の友社(ヒーロー文庫レーベル)
≪あらすじ≫
ひのきの棒。それは最低最弱な武器の固有名詞である。この物語はそんなひのきの棒をこよなく愛し、これが史上最強の武器であると豪語する武器商人と、彼のもとに集まる迷える冒険者達の愛と感動の秘話である。武器商人の名は伊藤。彼はほんの些細な仕草から相手の本質を見抜く目を持っている。話は一流の戦士を目指す赤毛の少女の視点から始まる。彼女の名はヴァルナ。片田舎の農村で生まれ育った少女ヴァルナは、立派な戦士になることを夢見て、世界最大の交易都市アイゼンハードに旅立つ。だが、少女は夢破れ、路上生活を強いられるほどに落ちぶれてしまう。行き場を失ったヴァルナが向かった先は、伊藤の武器屋だった―。
(裏表紙より抜粋)
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≪感想≫
あらすじに惹かれて手に取った一冊。
微妙に細部が気になってしまう作品。例えば、和洋折衷、西洋風の装備や和風のジョブが混在しているのは良いだろう。この手の作品においては大して珍しい話ではない。けれど、語り部の口から「ホームセンター」とか「お客様アンケート」っていう単語が出てきてしまうのはいかがなものか。そういうところの細部の配慮というか推敲する作業が足りないというか、こう詰めの甘さみたいなものを感じずにはいられない。
あと重量キログラム(kgw)で算出した数値を単純にモンスターの防御力数値を引き算してしまったり、鱗がはがれた場所への攻撃が「防御力0」として扱われたり、首をかしげてしまうことも多々。別にラノベに完璧な物理学とかそういうものを求めているわけではないのだけれど、そういうものを持ち出すならもう少し説得力が欲しかった。
っていうか、防水加工のひのきの棒はともかくジョイント出来てしまうひのきの棒ってもうそれひのきの棒じゃねぇよ(笑 実際、作中では「特製」「企業秘密」と言っているから、ノーマルのひのきの棒ではないんだけどね。それってもう作品の根底が覆ってるんじゃ(攻撃力1しかないからOKなのか?)
ストーリー面ではやはり最後の三篇目が不完全燃焼な印象。そもそも逆転劇までの流れまでがやや長くて読んでて不快感たっぷりなのに、それに対するカタルシスが少なくともこの巻内にはあまり見受けられない。続編前提っぽいが、それにしたってもう少し区切りは付けて欲しい。
評価は、★★★(3点 / 5点)。全体的な部分としては楽しめるモノだと思うが、三篇目は構成を失敗した感じ。
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