今週のピックアップ 冴えない彼女の育て方♭ 第1話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[冴えない彼女の育てかた]
≪感想≫
もう3話目が放映され(0話があるため実質的に4話目)、そうした中で敢えて1話を取り上げるという無謀さ(笑 そこまでして書きたかったというわけでもないのだが、単発で感想を書いている作品でもないので、一つ書き残しておくのも良いかなと思っての今週のピックアップ。
そうした中で注目したのは、詩羽先輩が英梨々にした壁ドンならぬ窓ドン。
これ、原作知らないと(むしろ知らない方が原作のしがらみから解き放たれて)結構複雑なシーンに見えて、いろいろな角度から切り取れて面白い。原作が合って、原作ではどういう風に表現されているか知らないし、知りたいとも思わない。知らないからこそ、好き勝手自由に語らせてもらえるし、妄想出来るんじゃないかな。
1)英梨々からの忠告
倫也の幼馴染として彼の過去を知っている。英梨々からの忠告は、受け取りようによっては(っていうか普通に受け取れば)「私がいるのだからアンタ邪魔」という意味だ。それに対する怒り、あるいは嫉妬。それが結果的に窓ドンへと繋がった。英梨々が暗に「アンタより私の方が上」と言おうとしているスタンスへの詩羽なりの威嚇でもあったのだろう。現に詩羽がさりげなくああいった行動に出たのは、最後の方では倫也を「安芸くん」と言い直していた英梨々がそれすらせず「倫也」と呼び捨てにしていた唐のようにも見える。
どうしてもメインは恵、積極性では詩羽や美智留に劣り、「幼馴染は負けフラグ」を地で行っているように見えるのでヒロインとしては散々な感じもする英梨々だが、この時点ではしっかりとある種のヒロインをしていた。
2)宣戦布告
1)から通じ、そこから発展している部分だが、英梨々への窓ドンが彼女への威嚇だとするならばそこからの詩羽として宣戦布告としての意味もあっただろう。
それは、改めて英梨々に詩羽が自己紹介をした際、自らのペンネームを明かしたことからも明らかだ。そして詩羽にはその自らのペンネームを明かすことが、宣戦布告として絶大な効果を持つことを良く理解していた。何せ、表現として適切かはともかく英梨々は幼馴染なのだから「過去の女」なのだ。対して詩羽は、今倫也が大好きな作品の作者であり「現在の女」なのだから。
3)第三者からの評価
英梨々は、詩羽にこういったわけだ。「(倫也が)好きなのは、『恋するメトロノーム』であり、その作者だ」と。自分がその作者であることを知らず、英梨々はそう告げた。それはある種の第三者からの客観的な評価なわけだ。倫也でも詩羽でもない、第三者が二人の関係が「相思相愛」であると認めたため、それを内心酷く喜んだ結果が窓ドンだったとも解釈できる。この「第三者から」というのがポイントだろう。
実際、窓ドンに至るまでの階下から踊り場にいた英梨々まで詰め寄る高速ダッシュな詩羽のモーションを視ると、そういった内面が見え隠れしているようにも思う。
4)二人の駆け引き
1~3までで語った様に、窓ドンの前後は英梨々と詩羽による倫也争奪戦の駆け引きだ。この1話では結局、1年経っても(恵と言うメインヒロインを加えつつも)そのスタンスは変わっていない。互いに相手よりも優位に立とうとしている。
英梨々のアドバンテージは言うまでもなく幼馴染であること。付き合いが長いこと。
詩羽のアドバンテージは今倫也が好きなのは自分の作品であり自分の生み出すキャラクターであること。
そうした二人の駆け引きを際立たせるワンポイントだったのが、あの窓ドンだったとも考えられる。
5)本命の恋のお相手(主人公)は不在
詩羽が英梨々に窓ドンをしたわけだけど、冷静に考えてみるならば本来この「ドン」行為をすべき人間がいない。そう、主人公の倫也だ(いや本当の意味なら、倫也はドンをする側に回って、英梨々たちはされる側にじゃないといけないのだろうけど)。英梨々、詩羽ともどもとそれぞれ過去にある種の悔恨を残している倫也。異性をドギマギさせる行為のはずの「ドン」行為を、同性――しかも結果的に恋のライバル同士がしていたという結果。
それは考えてみれば、この二人の今の恋路には本来いなくてはいけない人間が不在のまま進んでいる、ということの暗示なのかもしれない。彼女たちが本当に向き合わないといけない相手は、目の前の恋のライバルではなく、自分が心から「共にありたい」、もっと欲望的な言い方をするなら「欲しい」と思う当人である倫也でなくてはならなかったのではないか。まぁ、この時点では詩羽は倫也を「ともやくん」と呼んでいるし悔恨もないため、詩羽に関しては現在進行形でもあるので解釈が難しいところでもあるけれど。
6)アニメーション演出としての窓ドン
これは4)にも似通った部分なんだけど、あの窓ドンの瞬間、英梨々と詩羽の攻守は完全に入れ替わる。倫也の幼馴染として彼の過去を知り付き合いが古く長いことから優位に立っていたはずの英梨々が、あの窓ドン一発で攻守は入れ替わり一転して詩羽が優位に立つ。
アニメーションとして見た時、これは分かりやすい演出だと思う。英梨々に言われるがままだった詩羽が、あの「一撃」で攻守を逆転させた。その後の英梨々の「なんでうちの学校に『霞詩子』がいるのよぉ」という台詞含めて、それをより強調している。シナリオ的、あるいは設定的な1~5)までの見方とはやや異なるが、演出的にもあの窓ドンはターニングポイントとして機能したように見えた。演出する側としてもその意図はあったと思われ、だからこそあのカットは違う角度から繰り返されたのだとも思うし。
という感じに見えた。他にも見る人によっては切り口もあるかな? 若干ザンネンなのは、こうした切り口が出来るほど盛り上がっている二人だけど、ある意味で恋の土俵では場外乱闘にしかなっていない点か。これが本筋の恋愛模様に直結するならいざ知らず、結果的に倫也のメインヒロインは恵なんだろうし(笑
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