魔女と魔城のサバトマリナ

作:雨木シュウスケ 発行元(出版):講談社
≪あらすじ≫
「おれ、綾姉のことが好きだから!」
遼平がある日、友人の姉・綾音にそう告白したとき、世界は変わった――。
遼平の胸を貫く、綾音の手から伸びた刃。加えて次に彼が目にしたのは、制服姿の綾音と、眼前に立つ巨大な化け物だった。
実は、綾音は魔女であり、遼平は彼女を守るシュヴァリエとして、近代魔女同士の決闘――サバトマリナを戦い抜くことになったのだ! ひとまず戦いを終えた遼平は、綾音とともに学園に通うことになる。だが、魔女やサバトマリナといった存在以外にも、世界へのいろいろな違和感が拭えない遼平。
そして、まるで覚めない夢のようなこの世界に遼平を閉じこめているのは、綾音以外に考えられず……!?
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
普段はラノベはジャケ買い+一巻目であることを選ぶことが多いけど今回は裏表紙のあらすじを読んで前々から気になっていた作品。なので、実は読み終えてこの感想書くまで作者が『鋼殻のレギオス』の作者さんだと知らなかった。いや、本当にそんなこと知らない方が良かったけど(苦笑
正直、読み物としては面白くなかった。あらすじを読んで惹かれたくらいなので、設定としてはかなり興味があったし、素材としては十分なものがあった気がするけれど、決定的に足りなかったのはページ数だろう。
読んでいると、たぶん原案か初稿だともっとページ数はあった気がするんだよね。ぶっちゃければ倍以上は。そう感じたのは、例えば中盤で倒すべき魔女とシュヴァリエコンビに負けた際、遼平は「連戦連勝だったので調子に乗った」みたいなことが書かれているんだけど、この前にはわずか一回しか戦ってなかったはず。
他も随所で齟齬というかズレというかそういう部分はあるし、読んでていて短編集ではない一冊の本のはずなのにストーリーに「ぶつ切り」感が強すぎる。
キャラクターもなんか定まってない感じ。主人公であり語り部でもある遼平の精神状態もとにかく安定しないし、スキルも安定しないし……。
ストーリー的な最後のどんでん返しも、「え? ぶっつけ本番?」とか「それに思い至るのが彼女たちが最初?」とか「その方法でいいの」とか。最後の最後まで盛り上がりに欠けた。
せめて遼平がもっと好きな綾音をとにかく信じてとにかく何も考えずに突っ走るくらいの純真さを見せてくれればまた少し印象は違ったんだろうけど……キャラもストーリーもブレブレ過ぎてて、読んでて「結局どうしたいの?」と思ってしまった。
評価は、★☆(1.5点 / 5点)。設定は面白くなる要素があったと思うが、もっと地に足付けて堅実にやって欲しかった。この展開をして読者に読ませて魅せるなら最低でも倍から三巻分近い文量が必要だったはず。作者も編集者もそこに至らなかったのなら、それは残念過ぎる。
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