貴族探偵

作:麻耶 雄嵩 発行元(出版):集英社
≪あらすじ≫
信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。自殺か、他殺か? 捜査に乗り出した警察の前に、突如あらわれた男がいた。その名も「貴族探偵」。警察上部への強力なコネと、執事やメイドら使用人を駆使して、数々の難事件を解決してゆく。斬新かつ精緻なトリックと強烈なキャラクターが融合した、かつてないディテクティブ・ミステリ、ここに誕生! 傑作5編を収録。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
先に続編である「対女探偵」の方を読んだのだが、まさかのドラマ化だったので手に取ってみた。
率直なところ、エンターテインメントとしてはこちらの方が上かな、と思う。一方でテーマ性というか、「探偵の在り方」という部分においては続編の方が軸足をおいて描いているかな、と言う印象。
ある意味で俺TUEEEE系の小説。貴族探偵はもちろんのこと、その使用人やメイドたちも失敗したり挫折したり行き詰ったりすることがない。全てが貴族探偵やその使用人たちの思惑通りにことが進むことに対してはやはり賛否はありそうなところかな。
個人的には最後のエピソードがやっぱりいいかな。三者三様の惨劇の結末はあまりに醜態ではあったのだけれど、三人の使用人がそれぞれの角度から解いた謎が一つに集約して明かされる真実は悪くないかな。
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。メッセージ性では続編の方が色濃く出ていて個人的にはそっちの方が好きだが、本作も読み物としては十分面白い。
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