14歳とイラストレーター2

作:むらさきゆきや 絵・企画:溝口ケージ 発行元(出版):KADOKAWA(MFJ文庫)
≪あらすじ≫
「もうこのまま描けなくなっちゃうんじゃないかと、泥沼に沈んだ気分になるんだ」ラノベ挿絵などを手掛けるプロ・イラストレーター京橋悠斗は、若くして高く評価されているが、悩みもがくこともあった。描けないときもある。友人でラノベ作家の小倉が気分転換に誘ってくる。「温泉に行こう!東京から遠いとこ!」どうやら担当と揉めたらしい。家に来ていた14歳コスプレイヤーの乃ノ香まで連れて長崎は雲仙へ。家族風呂!?混浴!?そのころ、ナスさんは悠斗の近所へ引っ越したり、ハラミは見た者が悲鳴をあげるほどとんでもないグッズを作って問題を起こしたりしていた。希望と現実、そして欲望に振り回される、イラストレーターのガチな日常の第二弾!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
何気に知らないイラストレーターの日常と現実をラブコメ風味に描くシリーズの第二巻。
前巻からの気になる引きだったが、あっさりと終了w そうした中で悠斗の姉にして天才イラストレーター・彩華や悠斗の名を世間に広めるきっかけとなった作品の作家・マリィ(小倉)と乃ノ香と三人で長崎へ旅行へ気分転換旅行へ行ったりとした中で、ラストでまた爆弾を落として、という形。
前巻から比べるとラブコメ方面に舵を切ってきたな、という印象(それが良いか悪いかは別問題として)。乃ノ香はヒロインとして、そしてナスもそれとは違った形の正統系ヒロインとして台頭してくる中で、負けフラグしか感じないハラミに、さらにマリィという異色が加わってハーレム系っぽくなってきた。
ただそうした代償としてイラストレーターとしての現実や実像という、本作の味であり最大の売りはちょっと薄まってしまった。今作ではイラストレーター(ラノベ挿絵)の著作権問題が中心だったが、逆に言えばそれ以外はあまりなかったと言って良い。
何より、最後の「引き」に個人的には疑問を抱いている。前巻と違って今作の引きは、シリアス過ぎたと思う。前巻はまだラブコメとしての引きだったけど、今作の引きはシリアス。もちろん、シリアスな引きが悪いと言うわけではない。ただそれが本作の作風やコンセプトと合致するのか、と思うのだ。
最後に落とした爆弾(ネタバレなので白字反転⇒「姉の彩華が弟の悠斗の仕事を結果的に奪った」)も、例えば巻末に持ってくる必要はなかったわけだ。次の巻の冒頭でも良かった。それでその巻末に問題を解決すればね。作風を考えるとそっちの方が良かった気がする。イラストレーターの現実とラノベらしいハーレムラブコメを両立させていたのに途端シリアスで終わると、「え?」と戸惑う。
あと、気になったんだけど結局マリィの著作権問題(編集者が勝手に原稿を改竄など)はどうなったの? 巻末にシリアス持ってくるならそこをむしろちゃんと描き切って欲しかった。
評価は、★★★(3点 / 5点)。一巻と比べると、良くも悪くも普通のラブコメ作品で普通のラノベ作品になり下がってしまった感じがしてしまった。
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