機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第44話(第二期19話)
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]
『魂を手にした男』
≪あらすじ≫
クーデターに対しラスタル・エリオン率いるアリアンロッド艦隊は全隊を集結させようとしていた。
(公式HP あらすじ より抜粋)
≪感想≫
◇歴史か伝説か
ラスタル・エリオンはそれを似て非なるモノと言った。残るセブンスターズの面々も、「バエルにかかわる文言は強大な敵・MAを倒すために『個』の力が必要だった時のもの(今は組織としての力の方が重要)」とマクギリスと手を組むことを拒絶する。これは正直、視聴者としては予想の範囲内であり、逆に言えばこの展開を予想しえなかったマクギリスは確かに前回ラスタルに「子供」と言われた通り、考えが足りていなかったことは間違いない。
今回は終始哲学的というか難しい回だった。難しいというか解釈の仕方がいろいろある、というべきか。
ラスタルはイオクに対して、彼に部下が慕うのは「(先代から続く)歴史だ」と言った。連綿と続く歴史には重みがある。幼少期から知るからこそ、クジャン家に仕える人間はイオクを当主であり、そして生まれた時から知る家族のようだと感じていて、だから彼らはイオクが間違っていたとしてもイオクと共に歩んでいくことを決めている。それは勢力こそ違えど、鉄華団に近い感覚なのかもしれない。もしも、イオクが鉄華団と手を結ぶようなIFがあれば面白かったかもしれない。
けれど、それは裏を返せば良くも悪くも世襲制ということだ。セブンスターズにも同じことが言える。先代、いやそれよりはるか前、ギャラルホルンを創設した時の当主たちの「個」の力で得た地位を半ばルールとさせて継いできただけで、今のセブンスターズの当主たちが自身で何かをしたというものではない。個の力のおかげで今の地位にいる面々が、個の力を否定するというのも笑いモノだ。もちろん、現状の治安維持のためラスタルやイシューのような艦隊のトップとしての活動はしてきたのだとしても、彼らはその時の実績や功績でセブンスターズになったのではなく、最初からセブンスターズの当主となる前提での蓄積に過ぎない。
ラスタルは言う、「マクギリスはアグニカ・カイエルを否定すべきだった」と。そうだろうか。セブンスターズはその家柄で地位が保証される。その保証も先代どころかそれよりはるか昔の祖先の武功の上に胡坐をかいているだけのものだ。ラスタルの言う「歴史」は、セブンスターズにとって都合の良い歴史であり、それを壊すならば歴史と似て非なるモノとしての「伝説」や「伝統」をマクギリスが引っ張り出してきたのは、もしかしたら必然のようにすら思えた。
一方でマクギリスが全面的に正義かと言うとそれもまた難しいところだ。ラスタルが言う「アグニカ・カイエルの否定」が、マクギリスがアグニカ・カイエルの名やバエルの後ろ盾ではなく個の力でセブンスターズに割り込めば良かった、と解釈するのであればそれはまた一理ある言葉なのだろう。
誰に対しても一歩上から見下すようなマクギリス。そんな彼に異を唱えたのはアルミリアでありオルガだったわけだ。アルミリアの幸せは保証するという約束はガエリオとしたもの。そのガエリオとの約束を未だに守ろうとするマクギリスの意図は、「ここでアルミリアと縁を切られてボードウィン家の座を追われたら困る」という政治的な意味なのか、あるいは単純にガエリオへの想いなのか。そしてアルミリアの言動は、マクギリスへの狂ってしまいそうな「愛」でもあったわけだ。
同じようにオルガは、戦死者を「数」としてしか認識しないマクギリスに訴えかけたのは間違いなく「家族への愛情」だった。「十把一絡げにするんじゃねぇ」というのは、鉄華団の長として、そして同盟相手としての本音だろう。同盟相手の鉄華団を、有象無象のギャラルホルンの他の兵団と区別なくひとまとめにされれば、それはオルガからすればたまったものではない。名瀬の死後、オルガは依存する存在を名瀬からマクギリスへと切り換えただけだと思っていたが、名瀬の教えをしっかりと守っているようで、そこは安心した……まぁ、もう戻れないところまで来てしまってはいるのだけど。
愛という意味ではアトラ、そしてクーデリアも三日月や鉄華団への愛を語る。戦場に出てしまえば自分には何も出来ないと嘆くアトラ、自分の出来ることをしていつか…と考えるクーデリア。同じ愛、同じベクトルを向いていても考え方こうも違う。違ってしまう。
他にもいろいろあるだろう。例えばアインの存在。阿頼耶識と言うシステム化させたことは客観的に観ればアインを道具化させていることでありそのシステムを使ってでも戦おうとするガエリオは悪しき存在だが、アインとすればそれは自身が望んだことでもある。ユージンは「全てオルガに背負わせた」と後悔し、シノは全てを敢えてオルガに背負わせた上で「自分たちは迷わず突き進むだけ」とオルガに信頼を寄せるが、おやっさんは「こんな行き当たりばったりのやり方じゃダメだ」というザックを評して「考えることを忘れんなよ」と言い残す。
物事には常に二面性がある。勧善懲悪なんて存在しない。それを清濁併せ呑もうとしているのがラスタルで、勧善懲悪を作り出そうとしているのがマクギリスなのかもしれないが、そもそもにして勧善懲悪なんてものがないということが『ガンダム』という作品らしいところでもあるのかもしれないね。
次回、『これが最後なら』。あと一か月(4話分)くらい残っているからこれが最終決戦ってことにはならないだろうが、どうなるのか。鉄華団が負け側に入るというのは最終決戦以外だと考えづらいところだが…。
あとはバエルに隠された能力があることを願うだけ、か。さすがにそれくらいないと戦局ひっくりかえせないだろ…。
※お知らせ
来週は私的な用事のため、感想は夜遅くか翌日(月曜)まで遅れます。
≪TB先 参照リンク(URLアルファベット順)≫
赤字はTBが現在弾かれてしまっているBlog様です。
現在、nifty系、so-net系はほぼ全滅。livedoorは調子がいいと送れます。
・http://ashtone.blog.fc2.com/blog-entry-1979.html
・http://blog.livedoor.jp/pro_g_mania21/archives/g_tekketsu2nd-019.html
・http://blog.livedoor.jp/rx_78g/archives/52180223.html
・http://craft89.blog105.fc2.com/blog-entry-2221.html
・http://doddemokuriasiteyany.blog135.fc2.com/blog-entry-1532.html
・http://guutaranikki.blog4.fc2.com/blog-entry-13946.html
・http://howdolikemodeling.blog.jp/archives/49515391.html
・http://izan499.blog.fc2.com/blog-entry-1931.html
・http://magi111p04.blog59.fc2.com/blog-entry-2870.html
・http://mirumo.serika.ciao.jp/?eid=913659
・http://natusola.blog105.fc2.com/blog-entry-5849.html
・http://recluse.blog60.fc2.com/blog-entry-1858.html
・http://riksblog.fool.jp/public_html/mt5/anime/now/2017/02/gtk-44.php
・http://seeing04.blog39.fc2.com/blog-entry-6503.html
・http://takotakotakoyaki.blog52.fc2.com/blog-entry-6038.html
もしよろしければ、拍手ボタンをポチッと押して下さいm(_ _)m 管理人のモチベーションが上がります(ぉ
Web拍手に頂いたコメントは後日『Web拍手レス』にてお返事させていただきます
- at 18:01
- [アニメ(放送終了):機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]
- TB(13) |
- CO(8)
- [Edit]
そしてこのまま終わるもちょっと味気ないし、クーデリアにも活躍させたいな。