機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第41話(第二期16話)
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ]
『人として当たり前の』
≪あらすじ≫
歳星にて葬儀がつつましく執り行われる。ただジャスレイはさらなる手を打とうとしていた。
(公式HP あらすじ より抜粋)
≪感想≫
なるほど、ラフタの死はこう使うのか
誤解を与えないように前置きしておきたいが、私はあまりラフタの死について主観としては賛成ではない。っていうかふざけんなって思ってはいるんだけどね。愛した名瀬と慕っていた姐さんを喪っても、それでも彼女は前向きに生きていて欲しかったし、その役目は彼女だけのものだとも思っていた。
ちゃんと、彼女にしか出来ない役割があったと思う。特に昭弘との恋愛劇は殺伐として一歩間違えれば――まぁ間違えなくても――破滅の道の鉄華団にとっては明るい光になったはず。
極論を言えば、最終話のエピローグで昭弘が生きているにせよ死んでいるにせよラフタが彼の子を身ごもって終わり、というのもあり得るかなあと思っていたくらい。もちろん最終回まで無事生き残るかどうかは第一期を踏まえても五分五分かやや怪しいとは思っていたけれど。
さて、本題へ。
ラフタの死を監督と脚本家は、鉄華団が動くためのきっかけとして使ったわけだ。これがアジーでも、エーコでもダメだった。ラフタでないとダメだったわけだ。
昔の鉄華団なら名瀬が殺された時点で報復に動いていただろう。いや、昔でなくても第二期の序盤ではそうだった。序盤の騒動でも首謀者は見つけ次第始末し、地球支部で裏切っていたラディーチェは即刻始末をしていた。けれどオルガは成長していた。信頼し尊敬していた兄貴分である名瀬の言葉を守ったのだ――「なにもするな」という言葉は守れなかったからこそ余計に。しかし、それが裏目に出た。
マクマードもジャスレイを怪しんでいる。ジャスレイはイオク・クジャンと繋がっている。もしも鉄華団に諜報部隊がいてそういったことを少しでもオルガが知っていればまた違った行動に出ただろうし、その行動の結果としてラフタが死ぬということもなかっただろう。もちろん、そんなことは言い出したらキリがないのだけど。
彼女の死はある意味で第一期のビスケットの死に等しい。鉄華団、強いてはオルガ・イツカの楔を解き放つ役目を担った。名瀬のことも踏まえて自制していた鉄華団はその鎖を自らの意志で解き放つ。オルガはこの一件が終われば勝っても負けてもテイワズにはいられないと漏らす一方で、三日月には「徹底的にやれ」と命じる。これはビスケットの死後、三日月の発破で立ち上がったオルガの状態に近い部分があるのかもしれない。
また視聴者的にも彼女の死はこれ以上ないインパクトだったはずだ。まして前回の攻防戦で死ななかったので「ひと山越えた」と誰もが想っていた中で、しかもMSに乗らなずに生身で殺されるという、道理なのか侮辱なのか微妙な結末。視聴者のインパクトを与えつつ物語を動かすきっかけを与えるという意味で、ラフタというキャラクターの死はこれ以上ないほど意味があった。まぁ、そこが幸いと言えば幸いなのか。終盤で昭弘を護るために身をていして死んでいく、というのも情感としてはアリだけどストーリー上意味があるかと言えばたぶんなくなっちゃう。
でも、これは違う。
この死は、ラフタというキャラクターはこの『鉄血のオルフェンズ』という作品のストーリーにおいて絶対にいなくてはいけなかった、という評価は揺るがないのものへとなったのだから。
さてさて。他に何を語ったものだろうか。冒頭に前置きとして書いたようにラフタが死んだのでやっぱりちょっとショック受けてるからか上手く思考が纏まらん(笑
オルガ関連で言えば、相変わらずオルガはメンタル的な弱さがあるのかも、とは思った。こういう書き方はどうかとも思うが、オルガは今まで名瀬という存在に依存していた側面があった。その名瀬を喪っていよいよ独り立ちかと思ったが、今度は依存先を名瀬からマクギリスへと変えたという形だ。
名瀬は損得勘定から今回の鉄華団の放棄を容認しただけで名瀬のように無条件で彼らの行動を認めたわけではない。にもかかわらず、オルガにはそれが見えて居ない。オルガはただ名瀬の時のように「絶対に裏切らない」と安易に口にしてしまうほど。それだけオルガもメンタル的に弱っているともいえるが、この安易なひと言が終盤で足を引っ張らなければいいが…。
ストーリー的なところで少し指摘させてもらうと、ラフタの死はちょっと早かったかな、とも思う。完全に視聴者の憎悪がイオクに向いている状態で、今度はジャスレイ。後発と言うことでジャスレイへの憎悪が強すぎて、せっかくのイオクへの憎悪がやや軽減しそうなことが気になる。
それを見越した上でイオクにもこの先の展開を残している可能性もあるが、きっちりとイオクへの落とし前を果たしてからジャスレイに移って欲しかった。もちろん、リアルに考えればいろいろと絡み合っているのだからそんな「こっちが終わってからあっち」みたいな順番にはならないのだろうけど、エンターテイメントとして考えればその順序というのはきっちり守っても良かったのではないかとも思う。
ラフタの死が衝撃的過ぎて忘れそうだけど、三日月の子作り宣言も凄いけどね。まぁ、そういうことを語るような終わり方ではなくなってしまった点も、シナリオ構成としては「どうなの?」と思う一因ではある。
そもそも死ぬ必要があったのか、とは思っていた。正直、拉致られるくらいは覚悟してたからさ。ジャスレイにとってはどちらが利口だったのだろう。
拉致をして人質として利用すれば鉄華団の動きを抑える鍵になるし、人質を無視して行動と言うのはジャスレイ曰く「名瀬の教え」を踏まれば可能性としては低かったはず。もちろん、その場合クーデターに失敗した時には自分たちの悪行が全てばれるようなものだからリスクも大きい。
あくまでラフタを殺したのは「息のかかった」人間。これだけでジャスレイやその一派が破滅になることはない。知らぬ存ぜぬを決め通せばいいだけだから、ジャスレイとしてはそこを考えたのだろう。ただギャラルホルンのマクギリスが「組む」と決め、周囲からも畏れられつつある存在にある鉄華団を本気で敵に回すことを考えた時に人質ではなく殺害してしまうという手法が果たして妥当だったのか。ジャスレイにあのモビルアーマーすら破壊し得るだけの戦力があるとは思えないが、まさかイオク頼みとかいう手なのか?
あとは昭弘不幸過ぎ(涙 生き別れの弟と再会したと思ったら敵に回っていて死んで、弟の代わりに精いっぱい面倒見ようと思っていた部下が死んで、今度は信頼し愛し合えたかもしれないラフタが死んでっていうのがね。これが終盤に対して意図的なものがあるなら別に良いのだけど、そうじゃないのだとすると「三日月やオルガ関係を不幸にするのはちょっと…それなら」って感じなだけならちょっと監督、構成作家の技量が疑われる。ここまで昭弘が不幸な意味合いってあるんだろうか?
次回は落とし前。ジャスレイが宇宙服着ている時点で結末は決まったようなものだが…。問題はこれらの一件を客観的に観ているマクギリスがどう動くか、いやどう動けるかと言う点か。
ただ死んだのがラフタだからねぇ。名瀬、アミダも踏まえると、この三人の死に見合うだけの「カタルシス」を表現できるかどうかはこの作品の残り少ないながらも今後を左右すると思う。ここで相応の――といってもこの三人の死に見合うものとなるとかなりハードルは高い――カタルシスを得られないと、終盤に向けて評価が右肩下がりということも…。
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お久しぶりですm(_ _)m
今回はコメント書かないと、気持ちが抑えられそうになくて…(苦笑)。
前回は「燃ゆる太陽に照らされて」というサブタイトルで脚本が黒田洋介さん。
「あ、黒田さん『鉄オル』書くんだ!?」と意外だったのと同時にちょっと嬉しくもなっていました。
で今回は「人として当たり前の」で岡田さん。
序盤は三日月と赤ちゃんの触れ合いや、ラフタと昭弘のやり取りで、「これは女性ならではの脚本なのかな?」と勝手に思っていたのですが、
「え!? ラフタが!?・・・」と衝撃が…。
その前から三日月のオルガに向ける「視線」も気にはなっていたのですが、
月詠さんの
> これはビスケットの死後、三日月の発破で立ち上がったオルガの状態に近い部分があるのかもしれない。
で何か納得できる部分もありました。
そして
> この死は、ラフタというキャラクターはこの『鉄血のオルフェンズ』という作品のストーリーにおいて絶対にいなくてはいけなかった、という評価は揺るがないのものへとなったのだから。
> 今度は依存先を名瀬からマクギリスへと変えたという形だ。
> ここまで昭弘が不幸な意味合いってあるんだろうか?
特に上記三点には激しく同意、という感じです。
次回は「落とし前」ですか…。
残りの話数、果たしてどういう構成でラストまで進めていくのか、期待と不安、ハーフハーフです…。