祈りの幕が下りる時

作:東野 圭吾 発行元(出版):講談社
≪あらすじ≫
明治座に幼馴みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
加賀恭一郎シリーズ、もしかたら最後なんじゃないかと思うような集大成のネタ。
現実的には可能なのかと思ってしまうようなトリックであり、真相ではあるが、だからこそフィクションで出来る内容という感じ。良い意味でエンターテインメント性を重視している印象。
正直なところ感想が書きづらい一冊でもある。つらつらとあらすじを書きながらの感想なら書けそうだが、ネタバレを極力避けながらというと結構厳しい。それくらい一つ一つの展開が、最後の種明かしに繋がってしまう。余計な部分がほとんどない。本当に大事な部分だけを抽出して構成された一冊だと思う。そうでなければ、「ネタバレを避けての感想が書きづらい」という感想は出てこないだろう。
作品のテーマは親子の絆。加賀と母、そして――。親が子を想う気持ち、子が親を想う気持ち。そういったものを少しずつ積み上げながら描いている。
その在り方に賛否はあるかもしれないが、一つここで描き切ったのだと思える。
評価は、★★★★☆(4.5点 / 5点)。事件を追うというよりも、加賀たちの半生をたどっていくという形。その評価は、もしかしたら個人差が出てくるかもしれない。
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