ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1

作:東川 篤哉 発行元(出版):祥伝社
≪あらすじ≫
都会で夢破れ、故郷・平塚に帰ってきた元OLの川島美伽は、高校時代の旧友・生野エルザと再会する。“雌ライオン”の異名を持つエルザは、地元の刑事も一目置く名(?)探偵に成長していた…!強引に助手にされた美伽はエルザと共に、厄介な依頼人が持ち込む奇妙な事件の調査を始める。海と祭りの街を舞台に、最強の美女探偵コンビの名推理が炸裂する本格ミステリー誕生!
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
おそらく『謎解きはディナーのあとで』シリーズが有名だろう東川さんの一冊。新作書き下ろしではなく、単行本からの文庫化のようだ。
ずば抜けた行動力と喧嘩っ早さを持つ探偵エルザに、冷静で頭の回転も速い旧友・美伽が助手として首を突っ込んだところから始まるミステリー本。
以下、個別感想。
【女探偵は眠らない】
最初のエピソード。まぁ、ミステリーとしては突飛なネタではなく、ある程度の冊数のミステリーを読んだり、あるいはテレビドラマを観てたりすればおそらく真相は容易に想像出来るレベル。
【彼女の爪痕のバラード】
失踪した彼女を探して欲しいという依頼を受けたエルザと美伽。しかし、その依頼人は川で水死体として発見されてしまう。どうやらその直前に失踪した彼女にまつわる何かを見つけたらしいのだが、というエピソード。
さすがにそこには至らなかったw まぁICレコーダーなど音声絡みだったのがヒントといえばヒントだったのかもしれないけど…。っていうか、一度犯人立ち去ってるなら録音する必要性を本来は感じない気もするが……。
【ひらつか七夕まつりの犯罪】
探偵役がアリバイ承認として使われる、という典型的…とは言い難いが変化球の中では割とメジャーなエピソードを本作でも突っ込んできた。
ネタバレになってしまうが、十分の時差をおいて同じ行動をすることで目撃者のアリバイを曖昧にさせて統合させるというのはかなり面白い着眼点だったのではないだろうか。個人的には最も面白かった話。
【不在証明(アリバイ)は鏡の中】
宗教系詐欺はどうやって働かれるか、というエピソード。
トリック的にはありきたりなのでちょっと微妙。もう少し踏み込んで欲しかったかも。
【女探偵の密室の友情】
その名の通り密室トリックのエピソード。
ややネタバレしてしまうが、先入観を利用したトリックではあるが、面白い着眼点だと思う。ややご都合主義的なところはあるにはあるのだけど。
評価は、★★★(3点 / 5点)。トリック的には及第点。キャラの絡みはギリギリ合格点といったところか。単行本で続編が出て居るようなので文庫化したら一度は手に取ってみたいと思う。
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