傷物語 II 熱血篇

≪あらすじ≫
高校二年の春休みに、美しき吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会った阿良々木暦。四肢を失い、瀕死の状態にあった彼女を助けた暦は、しかし自らも吸血鬼になってしまう。
人間に戻るためには、奪われたキスショットの四肢を取り戻さなければならない。
怪異の専門家・忍野メメの助言を受けた暦は、過酷な戦いに乗り出していくことになる。
彼の前に待ち受けているのは、
身長2メートルを超える巨漢である吸血鬼を狩る吸血鬼・ドラマツルギーと、
巨大な十字架を自在に操る半吸血鬼(ヴァンパイア・ハーフ)のエピソード。
そして、吸血鬼退治を専門にする、物静かな人間・ギロチンカッター。
はたして暦は、3人の「敵」から、キスショットの四肢を奪い返すことができるのか?
雨がそぼ降る3月最後の夜、血戦の幕が静かに上がる――。
(公式ホームページより抜粋)
≪感想≫
傷物語中篇となる「熱血篇」。
原作ファンの方には怒られるかもしれないし、原作通りにアニメ化している場合には悪いのは映画ではなく原作小説ということになるのだろうが、率直な感想としては「チープなB級映画をアニメにした感じ」というところ。
もちろん、これは「傷物語」という一本の作品を三分割した真ん中のエピソードという部分も難しいところだろう。スタートから見て流れが分かりやすい前篇やおそらく終盤に相応の逆転劇やらなにやらとカタルシスがあるだろう後篇と比べれば、そもそもにして不利な部分もあったはずだ。
加えて時期も正直なところ悪かった。なにせ一週間くらい前に『シン・ゴジラ』を観たばかりで特撮(実写)とアニメ、そもそもにしての制作規模が違うとはいってもその余韻が残っている最中の公開、そして観覧だったから。
とはいえ、一本の映画として観た時にはやはりいろいろとプラスよりもマイナスが目立った印象なのは否めない。前作と違い、羽川翼が本格的に絡んできて、そしてここでのやり取りが結果的に化物語以降の、暦が翼に対する謎の恩義の発起であることが明確になったわけで、そういう意味では一つ原作未読の立場からすれば謎は解けた部分。
とはいえ、翼が出てきてじゃあ彼女の言動でこれからどうなるかっていうのが恐ろしくベタ。暦に冷たく突き放されても「たぶんこれじゃ引き下がらないんだろうな」と思えば案の定だったし、第二の敵・エピソードとの戦いの正しく「戦場」に姿を見せたら「あれ、これやばいんじゃ」と思えばその通りになり、暦と邂逅を済ませたあとはやはりギロチンカッターに捕まってお決まりの「私に構わず」である。
この作品では特にヒロイン的な立ち位置の翼だが、アニメを視聴しているためこの歴史の「先」に暦は戦場ヶ原ひたぎという女性を選ぶことが分かっていることも、なんとなく結末の決まってるのに意図的にそれを感じさせないような作りをしているように悪い意味で感じたかもしれない。
良く言えば王道、定番ということなのかもしれないが、さすがにちょっと面白味には欠けた。若干、中二病をこじらせた感もある暦はまぁ悪くはなかったとは思うが、随所に翼のパンツネタが挟まれるのがちょっとくどい、かな。TVシリーズの時は、怪異が絡んでの深刻さと独特のユーモアが上手くかみ合っていたけれど、いざ劇場版となり内容が「傷物語」で尺も限られている中だとどうしてもシリアスとユーモアの温度差が酷いと感じてしまった。
戦闘シーンは短いながらもさすがに迫力があり、特にエピソード戦は見物ではある。一方で、あまりに無策じゃね? とも思ってしまった。正直、鉄血篇がうろ覚えではあるのだけど、三人がかりとはいえキスショット(以下略)の四肢を奪った三人だ。彼女の眷属になったとはいえ、もうちょっと暦もキスショットも忍野も作戦くらい練ろうぜ、と。三人との戦いだから三回、戦いがあってその内一回ならいいかとも思うのだけど、全部その場しのぎみたいなもんだったしね……。
評価は、★★(2点 / 5点)。
後篇となる冷血篇は2017年1月6日公開予定。この状態から暦は力を取り戻したはずの“キスショット”を「吸血鬼の搾りかす」とまで言われた“忍野忍”になり、そして忍と共に吸血鬼として生きて行く道をいかようにして選んだのか。さすがに最後となる後篇は今までよりも面白くなると信じたい。
おまけ
公開第一週の先行特典、になるのかな? もらってきました。

まだ読んでませんがw
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