シン・ゴジラ感想

会社がお盆休みに入ったこともあって観てきた、シン・ゴジラ。ちなみに4DやDBOXという選択肢もあったのだけど、普通に観てきた。理由は簡単で、ああいったシートは遊園地のレジャーになってしまって映画そのものに没入して楽しめるとは思えなかったから……。もちろん、ただの先入観でしかないので、体験した方がいて「いやいや、そんなことないよ。映画が二倍、三倍面白くなる」という方がいたら教えていただきたいのだけど。
結果から言えば『怪獣(特撮)映画の流れを汲む日本らしいパニック映画』だと思う。もちろん面白い。分かる人にメタ的な内容を伝えるなら、『ゴジラで大人なヱヴァ・序をやる感じ』かな。
そもそもにして「ゴジラ」とはどうあるべきか、を最初に考えさせられる。ゴジラに限らず平成以降の怪獣映画というのは、「怪獣vs人間」というよりは「主役怪獣vs敵怪獣」という構図が多く、主役の怪獣(ゴジラだったり、ガメラだったり)は穿った見方をするならば人類にとって都合の良い怪獣になっていた。
ただ本来の怪獣映画というのはそういうものではない、というアンチテーゼではないかなと思わされる。怪獣とは、未知であり恐怖であり畏怖であってこそ。その巨大さ、それから来る圧倒的破壊力、相互コミュニケーションが取れないという相手だ。そこに生まれる当然の感情と、倒すべき・駆逐すべき相手。それ故に、今回の『シン・ゴジラ』においてゴジラは終始、日本という国と日本人という民族にとって敵であり続けた。そこがまず良かった点。他の怪獣は出てこない。とにかくゴジラという怪獣に対して、日本人がどう向かい合って戦うかというところに特化している。
内容はゴジラらしく「核」というものが中軸にちゃんとある。ゴジラの活動エネルギーはもちろん、ゴジラを滅するために東京に熱核兵器(核ミサイル)を落とすのかいなか。放射線についても触れている。
当然それは東日本大震災に伴う福島原発のトラブルも大きく影響しているのだと思う。最終的にゴジラを倒す経緯で発見された、従来よりも放射線の半減期が極めて速い元素の発見、という創作物らしいご都合主義的な終わり方というのが監督以下スタッフが現実世界に望んだ一つなのかもしれない。ゴジラからではなくとも、そういったものを人類の手で発見するなり作り出すなり出来るならば、福島の復興もまた違った形に出来るという部分で。
ストーリーとしては、先にも挙げたように「ゴジラでヱヴァ・序をやった」感じ。特にゴジラが破壊光線を使ってからのヤシオリ作戦の流れは、ヱヴァでのvsラミエルの流れをほぼ踏襲している。それに対して「芸がない(引き出しがない)」と見るか、「怪獣映画としての最適解がたまたまこれだった」と納得するかは個々人の評価に委ねられるかな?
演出面でもヱヴァの影響は少なからずみられる。いや、ヱヴァの影響というのが正しいのか、庵野監督の作品としての特徴としてみるのが正しいのかも微妙なところ。例えば文字の多用、とかね。あとは音楽も結構ヱヴァで印象的なもの(作戦時など)もそのまま使っていた感じだし。
さて、今回のシン・ゴジラにおいてもう一つの特徴は破壊美ではないかと思う。私は人間、多かれ少なかれ破壊衝動を有していると思う。特撮映画において、自分が見知った場所を粉々に破壊するというのは恐怖であると同時に爽快感すらあるし、特撮映画の魅力ってそこなんじゃないかな。
そういう意味で今回、歴代最も巨大化したゴジラは圧倒的な破壊力を見せた。しかも場所は首都・東京がメイン。邦画で東京壊滅のような映画って結構珍しい気がする。だからこそ都内がゴジラによって壊されていく「様」というのはある種の「美」にも思えた。特に破壊光線も初めて使ったシーンでの絶望感は凄まじい。
ただ、そこには庵野監督のオマージュ的な部分もあった様には思うから、その作品を知っているとニヤリと出来るのかもしれない。例えばゴジラが破壊光線で東京を火の海にした光景は『ナウシカ』に出てくる巨神兵が火の七日間の、同様にゴジラが破壊光線で空中の米空軍を破壊したシーンを始めとした圧縮した破壊光線の使い方は『ヱヴァ・序』のラミエルを彷彿とさせている。
前述のようにヱヴァ的な使い回しと言われればそれまでだが、映像として見た時にそれは破滅的な美しさというか畏怖みたいなものや圧倒的な強さを視覚的な表現が出来ているからこそ成り立っている。なので、ある意味でこういった作品においてはこういう形というのがエンターテイメントとしての完成形の一つなのかもしれない。
評価は、★★★★★(5点 / 5点)。近年の日本のパニック映画の中では出来はかなり良いと思う。欲を言えばもう少し登場人物に対する掘り下げ(特に長谷川さんの演じた矢口と石原さん演じたカヨコ)は欲しいところか。まぁ、下手な人間ドラマではなくてあくまでゴジラメインだよ、というメッセージなのかもしれないが。
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