道然寺さんの双子探偵

作:岡崎 琢磨 発行元(出版):朝日新聞出版(朝日文庫)
≪あらすじ≫
消えた香典の行方、水子供養に隠された秘密。道然寺の若和尚・窪山一海が巻き込まれる謎の数々を先に解決するのは、人を疑うレン?それとも人を信じるラン?生老病死―いつの世も人は苦悩を避けられない。捨て子だった双子探偵は、様々な出来事をどう受け止めるのか。
(裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
『タレーラン』シリーズで有名となった岡崎琢磨さんの文庫新刊。
正直、アイディアはかなり良い線いっている素晴らしい切り口だと思う。タイトル通り、双子の中学生が探偵役となっている作品なのだが、双子の男の子は人を疑う性悪説に近い考え方を持ち、双子の女の子は人を信じる性善説に近い考え方を持っている。二人の思考が真逆だから、当然それぞれが同じ事件に直面した時に導き出す仮説は真逆の切り口になる。
同じ事件に対して探偵二人が全く違う思考に立って事件を違う切り口で切っていく。それはやっぱり斬新というか、面白いアイディアだなと思った。
欲を言えば、「二人の違った推理が同時に出て、その二つの推理を基に真相に迫っていく」というスタイルの方がより面白くなるんじゃないかな、と思ったことか。
二人の探偵が違った思考で事件に向かっていくわけだが、実際には「片方が推理を示す⇒もう片方が後から事件の概要を聞いて全く違う推理を披露⇒そっちが正解」という流れがテンプレで固まってしまっているのでそこがもっとバリエーション豊かにできそうなのにな、と思ってしまった。
ミステリーとしては、どちらかといえば安楽椅子探偵風味で、物証を得て行くようなタイプではなくあくまで想像の中の推理で組み立てて行く感じ。まぁ、中学生が探偵役で短編集なら警察物みたいに足で物証や裏付け稼いでいくようなミステリーよりは現実味があるか。
評価は、★★★★(4点 / 5点)。面白い設定を作ったな、と感心。どちらかと言えば短編集より中編や長編の方がさらに設定が活きてきそうなので、続巻が出るならそちらで読んでみたい。
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