探偵の鑑定II

著:松岡 圭祐 発行元(出版): 講談社
≪あらすじ≫
暴力団・獅靭会の罠に玲奈たちが気づいた時はもう遅く、莉子は鑑定店から誘拐されていた。古巣の獅靭会に敢然と立ち向かう須磨。莉子も人の死なない世界から、玲奈と同じ正義も悪もない世界に引きずり込まれてしまうのか。『万能鑑定士Q』と『探偵の探偵』、松岡圭祐の二大シリーズ、ここに完結。書下ろし。
(BOOK データベースより抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
万能鑑定士Qシリーズと探偵の探偵シリーズをコラボさせ、さらに同時に両方のシリーズを完結させようという壮大なプロジェクトの後編。
読み物としては面白いかもしれない。ただ、それは全てのキャラクターに感情移入しなければ、というかなり無理難題だ。しかも既刊十巻以上のQシリーズのキャラや巻数こそ少ないが直近の作品の一つである探偵シリーズのキャラにそれをするなというのは。
そもそもにして、コラボと呼ぶには正直厳しい世界感だ。Qシリーズとはまるで違う世界観であり、二つの作品がコラボレーションしているというよりも莉子と悠斗が探偵シリーズの世界観に拉致されてきた、と言う方が正しい。それは前篇の時から感じていたことではあったが、ただそういった「過程」を経ての「結果」次第でそこは目を瞑れるとも思っていたのだが、その結果が最悪だったから養護も出来ない。
これが探偵シリーズの最終巻だというのはある程度納得出来る。玲奈たちの今後の展開を考えれば、玲奈の頑なな思考を解きほぐすためにも莉子の存在は必要だったとも思う。
一方でこれがQシリーズの最終巻だという部分にはまるで納得出来ない。前述のように玲奈にとって莉子は変わるために必要なキャラクターではあったが、莉子にとって玲奈はそこまでのものを感じないのだ。おまけに長い期間をかけて互いの気持ちを確認し合った莉子と悠斗が、このわずか二巻足らずの時間であっさりと別れ、悠斗には新しい恋人が出来てというのは、Qシリーズがなんだったのかと思ってしまう。
コラボする必要があったのか。
ただその気持ちを読む前から読んだ後まで延々と抱き続ける一冊だった。
読み物として面白いものが書けるという部分で松岡圭祐さんは凄い作家だとは思う。しかし、この結末はガッカリだしQシリーズを読み続けてきた人への裏切りにも思えた。
「絶対に」なんて決めつけは出来ないが、たぶんもう二度とこの人の作品を手に取ることはないと思う。
評価は、★(1点 / 5点)。本当は0.5点でも良かったのだけど、探偵シリーズの最終巻としては纏まったかなと思うので。
NoTitle
水鏡推理とか、今の松岡氏は別方向路線な感じで
なんだか分からないです。