デス・サイン 死神のいる教室

著:深津 十一 発行元(出版): 宝島社
≪あらすじ≫
あいつは死神だ―。不登校の生徒・五十嵐拓也は、三日以内に死ぬ人間がわかってしまう不思議な力を持っていた。新しく赴任してきた教師の舟橋と転校生の桜木乙女が、五十嵐をふたたび学校に呼び戻したとき、彼らの周りに「死」があふれ始める!五十嵐の依頼により、舟橋は一人の少女を死の運命から救おうと奔走するが…。果たして、的中率百パーセントの予見をくつがえすことはできるのか。
(BOOK データベースより抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
約二年、決して悪くないペースで本を読んできた身としては自然と思い入れのある作家さんというのは少なからず出てくるものだ。私にとって「深津十一(さん)」という作家はその一人と言っていい。文章力があって読ませ上手、というのが今も持っている印象だ。ただ、遅筆な側面があるのか、それとも事情があるのかは分からないが、刊行ペースが遅いのがもどかしい。
さて、本編だが前作では臨死体験をテーマとして取り扱っていたが、今回は「死の予兆を感じる」という部分をテーマとしている。そういったある種のファンタジー的な要素を現代に取り入れての物語作りは、一つの特徴と言っても良いだろう。
ただ肝心の完成度の評価が難しい。この文量ならこの構成になるのは理解出来るし納得も出来るが、一方で読んでいくと場面場面の切り替わりがやや性急な感じも強く覚えた。
また終わり方も考えてしまう。確かにこのテーマならこの終わり方なのだろう。死の予兆を感じることが出来るという部分と向き合った結果なのだ。ただ向き合った結果がこの終わり方というものに寂しさに近いものも感じる。個人的にはやはりデビュー作のインパクトが良くも悪くも強く残ってるのかな?
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。現代を舞台にした、ファンタジー色のある作品を好む人には薦められると思う。
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