ブックマートの金狼

著:杉井 光 発行元(出版): NOVEL0(KADOKAWA / メディアファクトリー)
≪あらすじ≫
東京・新宿のど真ん中に位置する『くじら堂書店』店長を務める男・宮内直人はかつて伝説的チームを率い、裏社会にまで名を轟かせた元トラブルシューターだった。そんな彼の元に、久々の“トラブル”が舞い込み…?
(BOOK データベースより抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
大人のためのラノベ、とも銘打たれていたらしいKADOKAWAグループのメディアファクトリーによる新レーベル「NOVEL0」の一冊。表紙の処理がちょっと高級感があるというか、独特かな、というのがパッと見のジャケットの印象。NOVEL0自体はいろいろ観たがファンタジー含めて幅広くやっているようで、これといって特にジャンル的な部分での制限は設けていないようだ。
さて、本作だが書店員ハードボイルドというわけのわからないジャンルになっているが、ぶっちゃけただのハードボイルド。ただ、主人公がすでにその道から引退していて書店で店長をしている、というところが特異と言えば特異ではあるが、それほど奇を衒った要素かといえば、実際本編中で「書店の店長」と言う要素はそこまで出てきているわけではない。せいぜい物語の途中で自分が店長を任されている店に顔を出して仕事の状況を確認するくらい。そこは欲を言えばもっとこの作品独特の「味」として前面に出すべきだったと思う。まぁ、別に本格的なミステリーという感じでもないので「事件解決に書店や店長としての要素がないからダメ」とは思っていないんだけどね。さすがにそこまで鬼な読者じゃないよ?(笑
物語としては、人気急上昇中のアイドルユニットのメンバーの一人がトラブルを持ち込んできて、仕方なく直人は過去の経験と伝手を使ってそのトラブル解決と真相究明に乗り出す、というのが大まかなあらすじ。
特にストーリーの流れとして定番外しや意外性のある展開はなくド定番の王道を突き進んでいる、という感じかな。話として目立った矛盾点や説明不足、キャラクターの言動で不明なところもなかったと思うので、内容も設定も文章もちゃんとしているというのが印象かな。
キャラクターは、主人公たちがそこそこの年齢がいっているので中高生が主人公の作品やラノベに比べると、各々のキャラクターの言動に落ち着きがあって三十代の私としては共感しやすいというか、キャラクターの言動に「なんでさ!」と思いながら読むこともないので安定している。そこは大人になった男性向け、というNOVEL0というレーベルのコンセプトにも合っていると思う。
評価は、★★★★(4点 / 5点)。群を抜いて完成度が高いというわけではないが、NOVEL0というレーベルのコンセプトにも購読予想対象者にも適した作品だと思う。
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