梅衣堂ひよと旦那様の野望
大まかなあらすじとしては、
名声値という仕組みのある、とある商業国で貴族を務めるレオンハルト・バニラは、立身出世の野心を抱えて日々名声値を集める日々。そうした小さな積み重ねでいよいよ管理職へ昇進を果たして出世街道を順調に進んでいることを確信したレオンハルトは貴族らしく中古でやや小さいながらも館を購入して新居を構えることに。派遣業者にメイド派遣の契約も結んで、順風満帆な人生が始まった――はずだった。
ところが、せっかくの新居はいきなり盗賊団の餌食にされ、レオンハルトも捕まってしまう。そこにやってきたのは派遣されてきたメイド・梅衣堂ひよなのだが……
という感じ。
全体的な印象としては、前作『ブラクロ』に比べるとライトで明るい印象。シリアス過ぎるストーリーを『ブラクロ』で描いたからそれとは違う感じにしたかったのか、それともアニメはじめ日常系が強さを見せている昨今ではシリアスよりコメディの方がウケが良いと判断したのかは分からないけれど。
ただ、それでも主人公が野心家っていうのが米山先生テイストと言っていいのかもしれない。主人公のレオンハルトは、前作のキャラ・続が精神的に落ち着いて現実的な野心を抱くという、ちょっとだけ彼を大人にしたような感じ。ヒロインの梅衣堂ひよは……前作にはあまりいなかったキャラか? 強いて言えば神葬の雪が近いかな。ヒロインの方は野心があるわけではないが、「給料分は働く」という冷めた部分と何とかして給金を得ようとするようなところが見え隠れしている形のやや守銭奴? 野心という理想を追う主人公に対して、お金という現実を直視するリアリストタイプのヒロインなのかもしれない。
ストーリーは前述のようにコメディ、かな。まぁこればかりは一話だけでは何とも言えないけれどね。今のところは、出世の野心を抱くレオンハルトが、ヒロインのひよを中心に望まぬドタバタに巻き込まれて、って具合なのかも。
さて、これこそ一話でやっても意味ない感じだが、少しだけ世界感を考察する。
舞台となるのはマカラデュレという国土は狭いながらも交易路にあるため関税や商業で成り立つ国家。ヒントとなる単語は蒸気自動車の普及率が5パーセントでまだ馬車全盛期ということ。私も詳しくないが、だいたい現実の世界だと1900年代前後といったところか。
それに対してひよが持つのはショットガンと思しき威力の銃(ドアをぶち破ったやつ)、スタンガン、グレネードランチャー装備(?)と思しきアサルトライフルと、装備は現代に近い。あとレトルトご飯持ってる。
単純計算で100年近い技術の差。これが意味するところは何か。
展開としては二つだろう。一つは、ひよが未来からやってきたヒロインだということ。彼女の持つお金が使えなかったことやレトルト食品を使っているところなどからも可能性はゼロではない。ただ、ひよが「弾薬費を経費として請求したい」とも発言しており、本当に未来からやってきたタイムトラベラーなら単純なお金では弾薬の補充が出来ないことになるので、弾薬費の請求というのはおかしな発言だ。つまり、弾薬は高額だが補給が可能=現代レベルの銃がこの世界のどこかではすでに生産されている、と考える方が自然かもしれない。
もう一つはマカラデュレという国家が完璧な鎖国をしていて完全に外界から取り残されている、という可能性。それならばマカラデュレという国だけが時間と時代に取り残されていて、実は外の世界はブラクロと同じように私たちと同じ現代ではないかという考え。
まぁ、こちらもマカラデュレが本当に交易路で関税などで成り立つ商業国だとするなら「完璧な鎖国」がそもそも不可能っぽいのだけど。
結局、「設定? なにそれおいしいの?」という「メイドが銃持ってたら良くない?」くらいの気楽な感じなのかもしれないが(笑
最後に、是非ともブラクロと同じかそれ以上に盛り上がって長期連載になってくれることを願っています。
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