セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴: 名探偵 御手洗潔

著:島田 荘司 発行元(出版): 新潮社
≪あらすじ≫
横浜・馬車道に事務所を移した御手洗潔と石岡は、ある老婦人の訪問を受ける。名探偵への冷やかし客かと思われた彼女の話を聞いた御手洗は、しかしその出来事を“大事件”と断定した。猿楽町にある教会での集いの最中に降り出した雨。その瞬間、顔を蒼白にして倒れた老婆。奇妙な現象、行動の裏には、政府とロシアにまつわる秘宝の存在が…。聖夜を彩る心温まるミステリー。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
島田荘司さんによる『御手洗潔』シリーズの一つ。シリーズを全然読んだことがなかったのだけど、まぁ好き嫌いも良くないと思ってとりあえずタイトルも気になって手に取ってみた。
全体的に会話劇がメインの作品だな、というのが最初の印象。特に序盤は本当にセリフ回しだけで延々と続いた時はどうなるものかとも心配になったが予想よりもミステリーとしての土台はしっかりとしていた印象。
読んだ後の後味も悪くなく、セント・ニコラスのダイヤモンドの靴というエピソードとしてはとても完成された印象を受けた。やや助手役の石岡の察しの悪さが気になるものの、舞台が昭和終わりということを考えれば思考回路というか、価値観というか、発想みたいなのは時代相応なのかもしれないが。
気になったのは後日談みたいな、シアルヴィ館のクリスマスの方が…だったかな。作品として全く繋がっていないわけではないのだけど、毛色が違い過ぎて……。必要性は感じなかった。まぁ、これが他のシリーズ含めて「恒例」「慣例」なのだとしたら否定しようがないが。
評価は、★★★★(4点 / 5点)。本編の完成度は高い。後日談的エピソードは評価が割れそう。
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