ドラマ版掟上今日子の備忘録 第1話
≪あらすじ≫
「史上最も運が悪い男」隠館厄介(かくしだて やくすけ)(岡田将生)は、今日もいつも通り周りから疑われていた。彼が勤める研究所で、機密データが入ったSDカードが消えてしまったのだ。挙動不審だというだけで、所員全員から犯人と決めつけられ、厄介はこう叫んだ。「探偵を、呼ばせてください!」
そんなSOSの電話を受けた、アパルトマン兼カフェ「サンドグラス」のオーナーで、探偵斡旋所も経営する絆井法郎(きずないほうろう)(及川光博)は一人の探偵を派遣した――それが、寝てしまうと記憶が1日ごとにリセットされるため、どんな事件も1日で解決する、「最速にして忘却の探偵」掟上今日子(おきてがみきょうこ)(新垣結衣)であった。
今日子に初めて出会った厄介は、その姿に思わず心を奪われてしまったが、今日子の仕事ぶりといえば冷静沈着そのもの。 今日子が調べたところ、研究所の出入り口のセキュリティーは完璧で、事件当日厄介も含めた所員5人以外に部屋に出入りした人はいない。SDカードはまだこの部屋のどこかにあると確信した今日子は、全員の事情聴取を始めるのだった。 はたして今日子は、事件を忘れる前に謎を解き、厄介を救うことができるのか!?
(公式HP STORY より抜粋)
≪感想≫
原作既読の実写ドラマ。とりあえずどんなものになったのか視聴してみた。
率直な感想は、予想以上に出来が良い。
最初に目に入るのは、まるで原作者である西尾維新他作品を数多く手掛けている制作会社シャフトのような文字を軸とした演出の多さ。監督や演出、あるいは脚本家の方がどの程度そういったものを意識したり参考にしたりしたのかは分からないが、そういうものがあるとやっぱり「あぁ、西尾維新さんの作品だ」とパブロフの犬のように反応するしニヤリと出来る(笑 普段アニメを視聴しない方がこのドラマを観て、こういった文字演出をどう捉えるかは分からないが、たぶん良くも悪くも新鮮には映るだろう。意識したのかそうでないのかは知らないが、結果的にはアニメから逆輸入・移入といった形の演出にまず良い意味で驚いた。
次はキャスティングの良さ。小説(単行本)とはいえ表紙に今日子さんのイラストがあるためどうしてもそのイメージを実写化するのは無理があると思ったし、やっぱり「絵」としては新垣結衣さんが銀髪のかつらをかぶって黒ぶち眼鏡をしていてもそれは変わらなかった。ただ、そこは俳優さんだけあって演技でそうしたハンディキャップを克服してくれたように思えた。
特に序盤で今日子さんが取り調べをしているシーンでのニュートラルさというか、受け答えみたいなものは「あぁ、今日子さんだ」と素直に思えたし、そう思わせた新垣さんの演技力というかキャラとの合致具合っていうのは予想以上に良かった。他にも岡田さん、及川さんらのキャスティングも良かった。
そして何よりストーリーが想っていた以上にしっかりしていたことだろう。原作二つ分のエピソードを一つにまとめた今回。あっさりと原作とは違った形で解決してしまった盗難騒ぎから、漫画家の脅迫騒ぎへの繋がりは最初こそ強引に思えるが、話の終盤では「悪いことばかり記憶していると道を踏み外す」といったものを軸に二つの騒ぎを振り返ることが出来るように仕組まれている。
最初のエピソードでは「データの復元を利用した二重のトリック」という隠し玉を見せる中で今日子が厄介の手を引っ張って往来を突っ込むシーンなど「魅せ場」を作っており、一方で漫画家のエピソードでは「圧倒的な才能を前に嫉妬しアイディアデータを削除しようとしたが出来なかった」という逸話で締めくくりながら直後に「一度削除したように見せかけたデータを復元ソフトを使って復活させる」という同じ「データ」を違った形で扱うことで話にある種の統一性みたいなものを持たせている。
細部をつつけばもちろん粗がないわけではないが、それでも原作のある作品の実写ドラマ一話としては申し分ない出来だと思った。アニメ化が続く西尾維新作品に敢えて実写ドラマにしようと目をつけた日テレおよび関連スタッフ。これは案外、下手にアニメ化するよりもずっと正しい選択だったかもしれない。
このクオリティが最後まで続くかは分からないが、当分視聴したい。
- at 22:44
- [特集:忘却探偵(掟上今日子)シリーズ]
- TB(7) |
- CO(2)
- [Edit]
NoTitle
わりと面白いドラマばっかやってこられたかたみたいなので2話以降も期待ですなあ