麒麟の翼

著:東野 圭吾 発行元(出版): 講談社
≪あらすじ≫
「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
新参者と同世界観の作品。
率直な感想を書けば相変わらず「読ませる」ということが上手いなぁ、と思いつつ、「これってミステリー?」と疑問を抱いたという感じ。大きな謎を序盤で提示し、それを加賀を始め刑事たちが追うという王道的なスタイルの中で少しずつ明らかになっていく全容。ただ、少しずつ明らかになる一方で真相そのものは全く違うところで動いてしまった感じが強くて、「謎を解く」という感覚が非常に薄かったのではないかと思ってしまった。
とはいえ、テーマとして「家族」というものがしっかりと描かれている作品だと思う。三回忌を目前として「偲ぶ」というものを直面することになった加賀もそうだし、全体として家族あるいはこれから家族になろうとする者たちをちゃんと描いていると思えた。
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。ミステリー的にはもう少し「謎解き」を主人公たちの軸で描いてほしかった。
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