幻想探偵社

著:堀川 アサコ 発行元(出版):講談社
≪あらすじ≫
野球部を休部中の中学二年生、海彦は落とし物をした同級生のユカリを追いかけて「たそがれ探偵社」にたどりつく。そこは幽霊専門の探偵社で、海彦とユカリは、ヤンキー姿の幽霊、大島の頼みを解決することに。ふたりの通う中学校に伝わる不思議な話も気になりはじめ―。大人気「幻想シリーズ」4作目。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
幻想シリーズというものがあるらしく、その最新作となるのがこの『幻想探偵社』とのこと。
主人公の海彦、ヒロインのユカリという二人によるボーイミーツガール、あるいはガールミーツボーイの派生型という感じのストーリーだったが、海彦もユカリも変に青臭くないっていうか、こういうフィクションにありがちな「空想上の幼すぎる中学生」ではなかったことがまず私の中で好印象だった。良いか悪いかは分からないが、とても二人とも「落ち着いていた」。それが私にとっては良かった。
もちろん海彦が抱える悩みや、ユカリの恋心など青臭さを感じさせる部分もあるんだけど、それが変な方向(下手にキャラ付けしようとして現実から乖離した中学生像を作るベクトル)に向かってなかった。
ただその分だけそれ以外のキャラは割と個性的。特に大島ちゃんは結構我も癖も強かった感じかな。
ストーリーとしては、一つの大きな謎(大島ちゃんの遺体はどこにあるのか)をメインにしつつ、サブとして幾つかの事件を短編で解決することで少しずつ本筋の謎が解け始めていく、という流れ。もともと連載作品だったから当然といえば当然だが、うまく一冊の中に綺麗におさめたと思う。
作り話っぽさが出過ぎている部分もないわけではないが、ほっこりとする結末が多いのもプラス。出来れば大島ちゃんの家族についてはあそこまで踏み込んだならエンディングでどうなったかエピローグとして示して欲しかったかな。
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。ミステリーとサスペンスの中間みたいな感じ。一冊の本として綺麗に纏まっていると思う。
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