第II捜査官
著:安東 能明 発行元(出版):徳間書店
≪あらすじ≫
元高校物理教師という異色の経歴を持つ神村五郎は、平刑事なのにその卓越した捜査能力から所轄署内では署長に次いでナンバー2の扱い。「第二捜査官」の異名を取っている。ある日暴力を苦に夫を刺して取調中の女性被疑者が担当の刑事とともに忽然と姿を消した。数日後ふたりは青酸カリの服毒死体で発見される。未曾有の警察不祥事に、神村は元教え子の女性刑事西尾美加と捜査に乗り出した。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
元高校物理教師という異色の経歴を持つ主人公と、その元教え子の刑事が事件に挑む、という感じのあらすじだったから手に取ってみた。
ただ、実際の中身としてはその設定は全く持っていかされているとはいえない。主人公が元物理教師という設定は何の意味も持っていないし、ヒロインがその元教え子という意味もまるでなかった。そんな設定無くても物語として成り立つし、推理も出来てしまう。ただ奇をてらっただけのキャラ設定で、肝心の中身がない。
中身は刑事と被疑者の逃走劇からの変死、そこからの暴力団の抗争と次から次へと事件が大きく様相を変えて行くは面白かったが、それを解決する形が空虚。それもこれも主人公の薄っぺらさ、ヒロインの無知っぷりと言った部分が完全にストーリーの足を引っ張ってしまっている証拠ではないか。
せめて推理していく感じがもう少し出てれば良かったのだが、主人公の神村が何もかも見透かした感じで読者放置状態だし、個人的に担当して失踪、その後殺害された刑事も己の手柄のために、ある意味で私腹を肥やそうとした動機にげんなりした。
評価は、★☆(1.5点 / 5点)。ボリュームはあり、次から次へと転がる展開は良かったと思うが、その展開を活かせるだけのキャラクターがなかった。
Comment
Comment_form