ようするに、怪異ではない。

≪あらすじ≫
高校に入学した皆人が出会ったハル先輩は、筋金入りの妖怪マニア。彼女は皆人のもとに「妖怪がらみの事件」とやらを次々に持ち込んでくる。部室に出ると噂の幽霊の正体、天窓から覗くアフロ男、監視カメラに映らない万引き犯…。とある過去から妖怪を嫌う皆人は、ハル先輩に振り回されながらも謎を解き明かしていく。爽やかでほろ苦い、新たな青春ミステリの決定版!
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
トラブルメーカーのヒロインに対して、巻き込まれ型主人公が探偵役として謎を解く、という割と王道な学園(青春)系ミステリー。すでに二巻の発売が決まっている、という珍しい一冊でもある。
ミステリーとしては相反するようなファンタジー要素である「妖怪(怪異)」を題材にしていて一抹の不安もあったが、「妖怪なんているわけがない」というスタンスの主人公が探偵役となって、ヒロインが「妖怪の仕業だ!」という事件を解決していくというスタイルは、もう作家さんの構成力というかプロデュース力の勝利という感じで上手い。
内容としては良く纏まっている一冊だと思う。シンプルだが設定にもこだわりがあるようにも見えて、先に挙げたように妖怪を題材にしているので舞台を水木しげるロードがある場所にしてみたり、というところも。
遊び心としては主要キャラ四人に「春夏秋冬」の季節を一つずつ苗字に当てはめるなどもある。まぁ、こういうところのこだわりは一般的な小説というよりもラノベに近いかもしれないが。
主人公たちがまだ学生なので推理も詰めの甘さが常時見られ、それに対して「青春してんなー」って感じの展開なので人によってはそこの好みは出てきそうだが、面白かった。
評価は、★★★★☆(4.5点 / 5点)。ややラノベっぽかったが概ね満足出来た一冊。すでに八月末に発売が決まっている続編にも期待。
同じ本の書評を書かれている方(敬称略)
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