放課後

≪あらすじ≫
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を2人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将――犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第2の殺人が……。乱歩賞受賞の青春推理。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
東野圭吾さんにとって乱歩賞受賞となり、デビュー作ともなった(はず)の作品。「今更?」とも思ったけど、機会があったから読んでみた。
さすがに乱歩賞を受賞した作品だけあって、すでに2015年時点から計算すれば30年前の作品なのだがそうとは思わせないほど完成されている作品だったと思う。
構成力やトリックはもちろん、文章に関しても古臭い感じはせず、時代性・流行のギャップこそさすがにないわけではないが、それでも読みやすい。
トリックはシンプルながらなかなかで面白かった。ただキャラクターに関しては主人公の前島が、さすがに人としてどうなのかと思うようなヤツでもあるので、そこでの共感の出来なさというのは良い意味でも悪い意味でもあった。悪い意味は語るまでもないと思うが、良い意味では「マシン」と彼が劇中で揶揄されているわけだから、下手に共感出来ない方が正しくキャラクターとしては理解しているのかな、と思えるところかな。
ただ、共感出来ないっていうのが読んでいく中で意外とストレスというか、読んでいる方にとって負荷がかかるもんだなと改めて思ったので、これに関してはメリットよりもデメリットの方が大きかったような気もするけど。
人間ドラマとしては良かったかもしれないがミステリーとしては妻の存在とその浮気は蛇足というか、そんな感じもちょっとだけ感じてしまってはいたんだけどね。
評価は、★★★(3点 / 5点)。主人公の在り方に共感出来ないという、ミステリー本筋とは関係ない部分がマイナスの大きなところというのがアレだけどw ミステリー、トリック自体はシンプルながら面白い発想だと思った。
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