自称分析官ヴィルヘルムの迷推理

≪あらすじ≫
ふんわりと可憐な容姿に似合わず、日常のどんなものでも分析しなければ気が済まない残念な女子大生、葵子。バイト先で、ふと訪れた喫茶店で、大学の研究室で。葵子は今日もどこからか、日常に隠れた分析の種を見つける。くすりと笑う彼女の唇から転がり出す、冗談めかした分析。それはつまらない日常の色をがらりと変える魔法みたいで―くだらなくって可笑しくて、けれどちょっぴり温かい。軽妙に二転三転する論理が楽しい、おもちゃ箱みたいな日常分析ミステリ。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
推理ではなく分析をテーマにした作品。その割にタイトルには「(迷)推理」がついてしまっているのだけどね。
さて、本編だがハッキリ言って何がしたかったのか最後まで分からなかった。結局、分析と推理の違いはこれといって明かされていなかった気がするし、ある意味でタイトル通りの迷推理っぷり。
主人公の心理描写もあっちに行ったりこっちに行ったりで安定しておらず。
もう少しね、キャラクターのバランス感覚が欲しい。自称分析官でも迷推理探偵でも何でもいいのだけど、そういったキャラが出るなら一方でしっかりしている相方がいるとか、好き勝手分析するヒロインの傍らには実は高い洞察力と推理力を持つ名探偵の主人公がいるとかさ。
最後のエピソードなんて「え、このキャラなの?」と酷いこじつけ。おまけに最後には裏分析。裏分析なんてことをしないと伝えられないような作品な時点でそもそももうダメだろ、と。
ミステリーに限らずラブコメにせよコメディにせよ青春ものにせよ、あとがきの後に用語集とかではなく本編の謎に対する付随文がある時点でお粗末と言わざるを得ないのではないか。
各エピソードも面白味の欠片もなかった。久々に読んでて苦痛を覚えた一冊。
評価は、☆(0.5点 / 5点)。本当は零点でも良いくらいだったが、会話の掛け合いは悪くなかったと思うので……。いや、本当に苦し紛れの0.5点。
Comment
Comment_form