魔境の女王陛下 薬師寺涼子の怪奇事件簿
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[薬師寺涼子の怪奇事件簿]

≪あらすじ≫
日本中を恐怖に陥れた殺人鬼を追って、警視庁の史上最強女王・薬師寺涼子警視は部下の泉田準一郎らを連れてシベリア奥地を大追跡、犯人が潜伏する秘密都市へ向かった。そこで一行が見たのは地獄のような光景と恐るべき陰謀、とうに滅びたはずの幻の巨獣!?人智を超えた敵に、お涼さまは常識越えの作戦で挑む!
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
コミック版ばかり読んでいたが、この度、文庫化されたものがタイムリーに発売されたので手に取ってみた。
さて、感想だが非常に残念な内容だった。文庫版を始めて読んだので漫画版と違って最初からこういう感じだったのかもしれないので、そこは過去との比較が出来ないのが難しいが。
なんといっても目立つのは、原発批判、政府批判の色がかなり濃いというところだ。それが悪いとは思わない。批判したいなら批判は構わないし、それが自作の出版物で自作のキャラクターを通して読者に伝えたいメッセージだと言うのなら私はむしろウェルカムだと思う。そういったメッセージ性が出た方が読んでても興味深いし。
ただ、この本に関しては別だ。批判は構わない。だが批判ばかりで代案の一つも出てこないような言いたい放題状態ではあまりに情けない。そんなことなら小学生だって出来る。大の大人が――著名な作家が自分の作品と自分のキャラクターを通して語るのであれば、そこには代案なりなんなりを示すべきだろう。それが欠片もなかった――まさか本気で今作のボスキャラのようにシベリア移住を考えているわけでもあるまい――のは、言いたいことだけ言って解決策も代案もないという、中二病の中学生が書いた黒歴史の小説みたいでプロの作家としてはどうなのかと思った。
また、「政府たちはフクシマの情報を出していない」というような旨の文章で否定しておきながら、「全ての情報を知ることが必ずしも正しいとは言えない」と終盤ではそれと矛盾するような表現があるのもいかがなものか。原発やフクシマの情報だって判断の仕方によっては「知る必要が必ずしも合った情報」とは言えないかもしれないというのに。
キャラクターは基本的に漫画版のまま(というかこっちが原作なので当たり前だが)だが、泉田の終盤のキレたところがイマイチ。あそこでキレるだけの要素がない。完全に「このキャラクターならこう動く」ではなく「作者の都合でこう動かした」という部分が否めない。
評価は、★(1点 / 5点)。 原発だろうが何だろうが批判したいならすればいいが、批判するなら代案やより良い解決策は示すのが大人と言うものだろう。エンターテイメントとしてはもしかしたらアリなのかもしれないがそういう社会風刺というか批判をしてしまった以上、そういったところの完成度が足りないようではお粗末。大の大人が出すプロの商業作家の作品としては及第点に遠く及ばない。
- at 10:56
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