名探偵の掟

≪あらすじ≫
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?本格推理の様々な“お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪k感想≫
一般的、あるいはテンプレ的なミステリー作品に一石を投じるようなブラックユーモア・自虐ネタ溢れる短編集。
ミステリー小説を書いているからこそ書ける自虐的なネタ、あるいは読者への挑戦的なネタが各所に満載となっている。ミステリー小説を舞台としながらも、その舞台に搭乗する天下一たちをあたかもドラマを演じている役者であるかのように「これはねーよ」とか「今回のトリックはこんなんだろうけど、最後の方まで気付かないフリしてないといけないしなぁ」とかかなりメタな発言も多数。
解説のページではあたかもこれがミステリー小説に対して皮肉を込めているような感じだけど、どちらかといえば二時間サスペンスへの皮肉と言うか批判みたいなものに感じたかな。この本が刊行されたのが1999年なのでその当時はまだこういう在り来たりな作風の作品が多かったのかもしれないけど、今だとここまでテンプレなことをするミステリー小説ってあんまり観ない感じ。これを観るのはむしろ二時間サスペンスくらいだろう、と。そういう意味では、ミステリー小説業界っていうのは著者が心配するほど袋小路にはならなかったってことなのかな。
先に挙げたようにメタなネタが多いのでここであれやこれやと語ることは憚れるが、短編集としてはブラックユーモア(?)として面白い構成になっていたと思う。
評価は、★★★★☆(4.5点 / 5点)。 この着眼点がそもそも凄いし、それを実現してしまう辺りは素人ながら伊達じゃないんだな、流石だなと感じた。
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