モラトリアム・シアターproduced by腕貫探偵

≪あらすじ≫
学校関係者が連続死。新任講師・住吉ミツヲは混沌とする記憶を抱えたまま事件に巻き込まれていく。彼は同僚の妻を殺してしまったらしいのだが…。封じられた記憶の鍵を握るのは魔性の女性事務員なのか?交錯する時間軸と人間関係に惑うミツヲを救うため、愛くるしい女子高生、ド派手な女大富豪、腕貫着用の公務員―三人の個性派探偵が集結。幻惑の舞台が開演する。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
『腕貫探偵』シリーズの一つ。といっても、「produced by腕貫探偵」が示す通り、どちらかというと腕貫さんは裏方。
舞台を同じくし、さらに従来シリーズのキャラをちょこっと出すなどしてシリーズ感を強めているが、基本的にはシリーズ初見でもたぶん大丈夫な仕上がり。
相変わらず読みやすく、それでいて読者を引き込む展開はお手の物というところ。終盤の手前までは本当に引き込まれていく感じで、次が読みたくて仕方ないという感じだった。
しかしながらそれに対して結末は正直ちょっと微妙。大富豪探偵が出て来たところや監禁状態から実は「作り物」というのはかなり高い確率であるなと読者ながらに予想出来てしまったし、主人公であるミツヲの記憶喪失の具合も……まぁ、言われればそういうこともあるんだろうなとも思ったが、結末としてはここまでの盛り上がり方から比較するとちょっと肩すかし。「きょうだい」を敢えてひらながで表記するなど、そういうところにも伏線はあったのだろうが、ひらなが表記するならもう少し捻りは欲しかったな。
キャラクターは立っていたが、それを活かし切れたかと言うとちょっと微妙だし……。
評価は、★★★☆(3.5点 / 5点)。盛り上げ方は上手いが物語の落とし方に失敗した感じが強い。盛り上げ方が上手い分期待感が強まってしまう分だけオチの微妙さが余計にマイナス方向へ際立ってしまった。
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