珈琲店タレーランの事件簿 4 ブレイクは五種類のフレーバーで

≪あらすじ≫
五年前に失意の美星を救ったのは、いまは亡き大叔母が仕掛けた小さな“謎”だった―。京都にひっそりとたたずむ珈琲店“タレーラン”の庭に植えられたレモンの樹の秘密を描いた「純喫茶タレーランの庭で」をはじめ、五つの事件と書き下ろしショート・ショートを特別収録したミステリー短編集。
(文庫本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
私がこの手の素人批評を始めたきっかけになった『タレーラン』シリーズの最新刊。
さて、今回は前回のような長編ではなく原点回帰のような短編集。ただ、今回はかなり変則的な造りになっている。そこが賛否の分かれるところかもしれない。
具体的には主役をいろいろと変えて視点を変えている。例えば最初のエピソードでは猫のシャルル、次のエピソードでは読者を欺く仕掛けのある教師に惚れた年の離れた女生徒、あるいはアオヤマ自身など美星を敢えて主役の観点から外すようなものが多い。
しかし、私にはこれが本や作品の完成度を上げるためのものだったり、工夫に工夫を凝らした結果だったりというようには見えなかったんだよね。
どちらかといえばどれもこれも、ストーリー上こうしなければならないというよりも先にこの視点ありきでの小手先の技法が先立ったストーリーに見えてしまった。まぁ、穿った見方なのかもしれないけど、『タレーラン』から始まった読書週間でいろいろな作家さんの本を読むようになったから素人目にも粗というかそういう「技法が先立ったストーリー」を隠し切れていないように感じてしまった。
そして日常系ミステリーである本シリーズだが、謎と言う要素がかなり微妙。エピソードごとのオチも微妙だし、謎も微妙、ストーリーも微妙、オチも微妙では……。
書下ろしのエピソードも必要性を疑うほど薄い内容と薄いページ量だったし、それが編集者の意図なのか作家の意図なのかは知らないが、読者も結構舐められたものだな、と。
評価は、★(1点 / 5点) 手先を変え目先を変え趣向を変えたショート・ショートだが、完全に裏目に出たような感じしかしなかった。
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