新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ 10巻「邂逅の協奏曲 (上)」 感想
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[新機動戦記ガンダムW]

≪あらすじ≫
リリーナの放った銃弾に倒れたヒイロは一命を取りとめたものの記憶障害に陥っていた。
ヒイロの記憶を取り戻す鍵となる『ゼクス・ファイル』から意図的に抜き取られた人物のデータとは!?
そして黒い“ウイングカンダムゼロ”と対峙する“魔法使い”に秘められた力とは―!?
急転の第10巻!
感想は続きからどうぞ。
≪感想≫
気が付けば『FT』ももう10巻。ただ裏を返せばまだ10巻。やはり休載が多いせいだろう。
さて、本編ではあるが火星編がメインとなっているため非常に読みやすく、それでいて面白い。休載続きだったせいなのか冒頭部はヒイロによるここまでのストーリーのおさらいみたいな独白になっていて、「こんなのにページ割くならちゃんと書いてろ」とも思ったので、そこを除けば比較的良かったんじゃないだろうか。
今まで新型ガンダムの要素に関しては欠いていた部分もあったがようやく《魔法使い》は真の能力を発揮したし、デュオとカトリーヌという組み合わせも斬新だった。っていうか、バクゥとかラゴゥなのかよw
以前の感想でも書いたことがあるが、やはり火星編の方が面白い。そして、旧キャラが出てこない方が面白い。正直、これは一つの作品の続編としては成功と言っていいんじゃないだろうか。続編の苦しいところは「旧キャラが出なくてつまらない」などと過去シリーズからの引っ張りがどうしても残るからだ。それを考えるなら「新キャラの方が面白い」というのはある種の成功と言える。
ただし、逆に言えば新キャラの比率よりも旧キャラの人数やエピソードの比率が高いこの作品にとってこの評価は「失敗」という評価になるだろう。
改めて思うと、過去編なんていうのはたぶんほとんど要らなかった。普通に火星編を、旧キャラを出さず、TVシリーズと似た名前と似た容姿のキャラでやってて、新型のガンダムを出して、「地球圏は平和だけど火星圏は争ってた」みたいな「なんだその言葉遊びみたいな設定」とかファンに批難されながらも「でもまぁ、面白いから許容範囲」と言われるくらいでちょうど良かったんだ、きっと。
それを旧キャラ山ほど出して、その旧キャラの過去編が作品全体の六割から七割くらい占めてるような作品になっちゃったから混沌としているし、全体的な話の流れも悪い。もっとテンポよくサクサク進めばいいのに、その都度過去編が入ってきて「その過去編いらないからさっさと火星編進めろよ」と突っ込まざるを得ない。
今回もサリィとかつての五飛の妻が今後のキーパーソンになることが明らかにされたが、ちょっとやり過ぎじゃないか? 地球だけでなく宇宙コロニーを含めた壮大な世界観でのSFのはずのガンダムなのに、登場人物同士にこれでもかっていうくらい関係を後付けで作っていく。
結果として、とても世界観が悪い意味でこじんまりとし過ぎて作品がどんどん小さくなっている気がする。この辺り、あのキャラもこのキャラもとやり過ぎた。
あと、ちょっと主義主張がくどいね。中盤以降のデュオとカトリーヌくらいでちょうどいいと思うのだが、どうなんだろう。長々と過去の歴史と大義と宗教観を書くってどうなのよ。
それにしてもほぼ丸一年かけて一冊刊行だからなぁ……終わるんだろうな、この作品。なんか打ち切りっぽく消えそうな感じもするが(苦笑
余談だけど、ウイングゼロのコックピットの位置、FTだとEWとかに戻ったみたいだね(ガンプラなどでは胸部の分析スフィアの「裏」にあってハッチは上方がスライドして空く仕組みだったが、本来はTV版と同じ分析スフィアのすぐ「下」にあってハッチも腹部にあった)。なんかそれがちょっと嬉しいw
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