迷走女刑事

≪あらすじ≫
一度スイッチが入ると妄想の世界に旅立ってしまう奇癖を持つ、警視庁捜査一課所属、宮藤希美。“オヤジ好き”のイケメンと希美をライバル視する甲賀忍者の末裔、新たに加わった個性的な後輩たちとともに、3人の数学教師の失踪、3枚の天狗面を被った犯人たちによる誘拐事件、そして、ゴミ屋敷から発見された状態の異なる3つの死体…“3”ずくめの奇怪な事件を、得意のイマジネーションで華麗に解決する(はず)!
(単行本裏表紙より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
『妄想女刑事』の続編。
基本的な路線はそのままだが、彼女に解決を促す謎のキャラクター・御園生独の正体も分かってしまっている中ではややミステリー感が弱い。そこは著者も分かっていたのか、三つの短編事件の犯人の名前や登場人物の名前に趣向を凝らすという遊び心で応じて来たが、それも最後に希美が種明かししないと正直誰も気付かなかったんじゃないかな、と。気付いた人がいたら、その人は凄いと思う。
問題はその遊び心が、例えばこの三つの事件全てで糸を引いていた真の黒幕(例えば丁寧退職する寺田とか)に直結して謎を解くとかならいいのだが、そういうのが全くないのがちょっとね。それならそこに遊び心を発揮してないで、他にところに労力は割くべきじゃないかと思ってしまう。
とはいえ、事件は良くできていたというか謎がしっかりしていたと思う。それぞれの変死・失踪は読者の読書意欲を掻き立てるには十分なものだった。だからこそ、そこに遊び心を割く必要があったのかな、と。正直、最後のエピローグを読んでて、先に挙げたようにソレが真の黒幕などに繋がるならまだしも何にもなくてガッカリしたというか、「なんだこれ」と思ってしまったのが実際のところ。
新キャラも個性を放っていたのは最初だけ。ライバル視していたはずの後輩は中盤以降そんなそぶりはまったく感じず、ゲイのおやじ好きのイケメン後輩もそんな感じ。サブキャラはそんな個性がなかったはずの前作の方がまだ立っていたのでは?
いっそ、御園生独に代わる新しい妄想キャラが出てくるくらいの妄想超展開はあっても良かったかもしれない。
評価は、★★(2点 / 5点)。総合的には前作よりは……というところで、正直前作と大差ない感じもする。
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