ブラッディ・クロス 第11巻

≪あらすじ≫
日向が極秘に進めている聖戦の“理”を破壊する術式、
最後の鍵は「想像の聖杯」! 和泉が第三の神候補となり、
更に狂気を纏いし者が現れ事態は混沌とする中、
聖戦は“最後の聖戦”を迎えようとしていた…。
(コミックス11巻カバーより引用)
≪感想≫
半年に一度の楽しみのブラクロ最新刊。ガンガンを毎月買えば良いんでしょうけど、コミックス派にはそれはそれで楽しみがあるんですよね。まぁ、それはさておいて。
これより先、ネタバレあります。ネタバレが嫌な方は今すぐ戻ってくださいね。
ネタバレOK? では、感想どうぞ。
個人的な評価としては、流行語大賞候補の言葉を使うなら「ハーフハーフ」だと思う(笑
良いと感じなかった点から言えば、香撫が生きていたこととそれによってあっさりと神葬が壊滅状態になったことだろう。香撫はあの時点で死んでいなくてはいけなかったキャラだと思う。あそこで死ぬからこそ、自由奔放にあっちこっちの組織を鞍替えしてスリルを楽しんで生きて来た「ツケ」が回ってきてその死に「自業自得」という意味が付随するから意味があったはずだ。
それが生きていて、彼女一人の存在の立ち回りによって神葬のトップで二人の黒印持ちだった常盤と、監察をしていた雪が退場(まぁ、こちらも死んだと明言されていないので、しぶとく生きている可能性もあるにはあるが)。神葬と言う組織にしても全員死んだわけではないにせよ、彼女一人でそこまで出来てしまうのは和泉と並んで劇中トップクラスの実力があったはずの常盤を考えるとあまりに不自然だ。
十歩譲って、香撫が刺し違えて常盤を殺した、あるいは重傷を負わせたというのであれば尚の前例もあるので納得はしただろうが、彼女の死は自害だったことを考えるとあまり納得の出来ることではない。何のための再登場だったのかな、と思ってしまう。出すならもっと、それこそ皐やアルカナまでも巻き込んで全ての陣営をマイナス方向にかき乱すくらいのことはして欲しかった。
また、香撫のあの現状を作り上げたのは裏をかいた日向や続の存在の方が大きかったはずなのに神葬の常盤に復讐してそれで終了、というのも腑に落ちる部分ではない(まぁ、交通事故で死ぬところだった香撫を「救ってしまった」という点まで顧みるなら元凶は常盤ということになるのだろうが)。
同様の事は里堂にも言えるかな。もうちょい見せ場が(笑
あとは和泉がチート過ぎる点かw まぁ、ラスボスは皐と並んでこれくらい強い方が物語としては組みやすいとも思うのでこの辺は想定内。
逆に良かった点は物語が大きく前進したことだろう。いきなり次の聖戦で残り全部の遺産が出てきてしまうというのはやややっつけなところを感じなくもないが、ダラダラと長引くだけならばこれくらいスパッと割り切って物語を進めるのは見事な英断だと思う。
月宮が洗脳で敵に回ったことと対照的に今度は日向が敵の手に落ちたというのも、月宮や続を動かす良い理由づけになっただろう。
もちろん、ここからの展開はさらに重要になるのは言うまでもないけどね。最後の聖戦の戦闘は見応えがあるものにしないといけない上に、戦力数では圧倒するアルカナに対して数の面で劣る皐と続――特に続は実力面でも劣るわけだから、ただ単純に正面衝突していては二人とも勝ち目がない。
続には神葬の残存勢力がついてくれたとしてもチートな和泉を考えればたかが知れているし、皐だって数の面でどうにかしないといけないわけだ。
そこを作者はどういうアイディアで魅せてくるのか、というのは作品を左右しかねないハードルだと思う。
もちろん主人公たちで言えば日向の悲願、月宮の生きたいという希望がどういう形で叶えられるのか(あるいは叶えられないのか)というのも重要だ。それはお互いの「過去」を考えれば尚更。
ハッピーエンドが期待できるような作品ではないことは承知しているが、それでも「救い」がある終わり方に進んでくれればなと思う。
あと、作画ちょっと改善した? 月宮とか一巻っぽい可愛さが戻った気がしてちょっと嬉しかったw いや、今までが可愛くないってわけじゃないけど、巻を進むにつれて展開がドロドロだったことと洗脳されたこともあってクールで冷徹な美人として描かれることが多かった気がしたので、なんとなく洗脳が解けて人格が戻ったおかげなのか本来の月宮っぽいキャラデザに戻ったのかな、と。
月宮に関してはこれで正真正銘、洗脳に関しては終止符にして欲しい。また後から「実は」みたいなのが始まるのはさすがに二番煎じ・三番煎じになって面白くないと思うので勘弁願いたい。
追記:用語集更新していて気づいたんだけど、43話と61話ってサブタイトルが同じ『選択』なんだね。これって単純に管理ミスなのか、それとも何か意味があるのか……。もしブラクロ読者でファンの方がいらっしゃったら、どういうことなのか伺ってみたい。
- at 00:56
- [特集:ブラッディ・クロス -BLOODY CROSS-]
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- [Edit]
香撫はむしろ一度死んで復活した事であそこまでできたのでは?
・元々「自由に生きたい」香撫と「人生を狂わせた神葬に復讐したい」香撫が居て、生きる希望のある内は前者が強かった。
・復活は完全な物でなく「自由に生きる」事は最早望めず「復讐に生きる」しか選べない亡霊みたいな状態でツケの追加払いみたいな状況。
・復活後の香撫は、自由を求めた彼女や大間、処刑場の怨念といった神葬の暗部に対する名もなき復讐者の象徴なんじゃないかと解釈しています。それが香撫が常盤を倒す意味でないかなと。
また、刺し違えの話ですが自害直前には殆ど死にかけてるし似たような物じゃないでしょうか。
雪の捕獲の部分とか見てるとアルカナとの協力もあったかもと思ったりもしますが…