[再]新機動戦記ガンダムW 第44話
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[新機動戦記ガンダムW]
『出撃Gチーム』
≪あらすじ≫
リリーナは、ゼクスの真意を知るため、リーブラに到着していた。しかし、彼の行動を止めることはできなかった。
ピースミリオンのガンダムパイロットに対し、ホワイトファングは大量のモビルドールを送り込んでくる。ガンダムパイロットたちは、なんとか応戦するのだが、戦術がプログラムされているモビルドールの前に疲労を見せ始める。
カトルは作戦行動をとることを提案。ヒイロはサンドロックにZEROシステムを積み込む。
その時、再び彼らの前に現れるモビルドール。ドロシーが、ZEROシステムを応用した指揮システムによって動かしていたのだ。
カトルもついにZEROシステム始動。みごとな指揮を取り、戦況を逆転させる。
(公式HP TVSeries Story 第44話より抜粋)
感想は追記からどうぞ。
≪感想≫
なんというか『W』だから出来た話。
ノインが口にしたように、カトル以外は基本的に単独行動をメインとして訓練を受けたり英才教育を受けたりしたエージェント。同じようなエージェントとしては『00』も似たようなものだが、あちらは最初から4機1チームが前提の行動だったため、パイロット同士が了解すれば作戦コードを伝えるだけで連携もしていた(刹那とティエリアのように)。
そう考えると、この44話まで大部分を基本的に単独行動だけで戦っていたヒイロたちがいかに異質かが分かるだろう。彼らがチームとして戦ったことはない。地球での戦いでも戦場が一緒になり一緒の敵を討つことはあっても、そこに連携といったものは存在しなかった。
もちろん、全くないわけでもないんだけどね。例えば、ヒイロとトロワはOZにいた際にはメリクリウスとヴァイエイトによるチームプレイ、連携行動をトールギス戦などで魅せている。カトルに関してはそもそもマグアナック隊との連携を初期からしている。
意外と連携らしい連携をしていないのはデュオ。五飛は言うまでもないが、実はデュオもそんな感じだ。ヒイロのウイングやカトルのサンドロックと同じ戦場に立ち、同じ目的のために戦うことはあっても連携を取っていたとは言い難い。
さて、こんな個性だらけの仲間たちを制御するフォーメーションとは何なのか。
ZEROシステムを使う前と後でカトルの指揮に何が変わったのかと言えば、簡単に言えばたぶん「目的」なんだと思う。あるいは「指向性」。
ZEROシステムを使う前のカトルにとって、仲間と取るフォーメーションとはいわば「防御行動」だった。相手の攻めに対して個々に分離され撃墜されることを避けるためだったわけだ。それに対してデュオたちは肌が合わなかった。なにせ彼らには「守る」という行動理念や概念は基本的に存在していない。なぜなら彼らは常に攻め込む側だからだ。エージェントとして相手への攻撃は基本的に奇襲や強襲となる彼らにとって、「守り」「受け」に回るというのはそもそも選択肢には含まれていないのだ。
唯一の例外がカトルだったわけだ。マグアナック隊を指揮していたことに含め、マグアナック隊には当初自分たちのアジトがあり、そこを「守る」という彼らを観て、彼らを信じて行動してきた。だからカトルには防御行動が、そもそも馴染んでいたのだ。
ZEROシステムを使った後、カトルはシステムによって何を観て何を見せられたのかは分からないが、カトルが仲間に指示したフォーメーションは「攻撃行動」に変わっていた。相手からの攻撃を防いだり、相手に各個撃破されるのを避けたりするためではなく、来た相手を殲滅するための作戦でありフォーメーション。この指向性はデュオたちに合っていた。あの五飛までもが「そういうことなら!」と協力したのだ。
彼の「そういうこと」の「そういう」というのは、今までのような守りのフォーメーションではなく、相手(五飛にとって「悪」)を倒すための攻めのフォーメーションということだ。
これは次回以降に五飛が口にすることだが「攻撃こそ最大の防御だ。守ることばかり考えていては身動きが取れなくなる」という彼の行動原理や信念みたいなものは、実はこの回から見えていたということだ。
さて、次回は『W』でも屈指の良質作画のバトルがあるヴァイエイト・メリクリウスvsデスサイズヘル戦を楽しみにしたい。
小ネタだが、Aパート最後にヒイロがウイングゼロのコックピットで作業をしているとき、コックピットのマルチモニターが折り畳まれている。貴重なシーンなので見返せる人は見返すと気付ける。
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