2014 FIFAワールドカップブラジル大会 一次リーグ 日本 0 - 0 ギリシャ
- ジャンル:[スポーツ]
- テーマ:[FIFAワールドカップ]
真価が問われるコロンビア戦へ
追記からどうぞ。
あっ、試合とは関係ないけど日テレの実況アナは最悪だった。何度選手の名前間違えるんだよ、他局じゃ絶対ありえないだろ…・…。
◆堅守をこじ開けられない
とにかくこれに尽きる。ギリシャは自分たちのサッカーである「堅守速攻」を徹底していた。それこそ、ギリシャにはすべきサッカーが見えて致し、それをやり通した。一方で日本は全くもって自分たちのサッカーではなかった。いや、そもそもにして日本にとっての「自分たちのサッカー」とは何かがいまだに見えてこない。同じ勝ち点1でも、勝利と呼ぶべきはギリシャだったことはもはや疑う余地もない。
客観的に観て今の日本のサッカーとは、パスで崩すサッカーだったはずだ。だが、それは出来なかったと言っていい。本来すべきワンタッチでのパス、それらと連動する三人目の動き、ディフェンスの裏を狙うFWの飛び出し……、それらがなければ中央をガッチリと固めてカウンターを狙うチームのゴールをこじ開けられるわけがなかった。
それらは完全になりを潜め、出来ていたのはせいぜい内田選手らの右サイドくらいで、散々実況では「日本のストロングポイント」と言っていた左サイドの長友選手などは攻めあがるものの突破からのクロスという、一対一での実力は認めるがチームの攻めとして見た時には全くもって単調で、おそらく立場が逆なら守りやすい攻撃しかしていなかったのではないだろうか。何を以て「世界一」なのかは分からないが、サイドバックとしては右と左で完全に明暗が分かれており、先のコートジボワール戦を踏まえても、むしろ日本のストロングポイントは右サイドではないのかと思うほど。
だが、それよりも機能しないのは本田選手なのかもしれない。香川選手を先発から外したのは愚行だったのか、英断だったのかはワールドカップが終わってから検証するとして、本田選手もまた今のコンディションやパフォーマンスならだれかと代わった方がまだ結果は出たのではないか。
勝たなくてはいけない試合で交代枠一つ残してでのスコアレスドローという采配にも疑問が残る。
さて、なんかグダグダと書いてしまったが、簡潔に結論を言うならば「もっといろいろと考えよう」ということだ。それは選手や監督もそうだが、それは応援している我々も、だ。
得点が決められないことを「決定力不足」と一言で言ってしまうことは簡単だ。だが、それを言い続けるだけで果たして日本サッカーは進化してきたと言えるのだろうか。私は答えは否だと思う。なぜなら、免罪符のように(日本人あるいは日本チームは)「決定力不足だから」と言い続けて、日本の決定力は上がってきたのか? それがNOだからだ。
決定力不足は見れば誰だってわかる。あとはどうして決定力不足なのか、だ。以前ならシュートを打たないからそもそも点が取れるわけがない、と言えた。だがこの試合は違う。シュートを相手チームの倍近く打っても一点も取れない現状がある。
要するにだ、ゴールを決めるのは1人の選手の1本のシュートで完結するほど日本の選手は優れていないということなのだ。だから1点のゴールを決めるために、最後の選手がシュートを撃つまでに何人もの選手がパス、ドリブル、フリーランなどで絡まないとそこに繋がらない。それをすることが「日本のサッカー」だったのではないのだろうか(少なくとも今のチームにとって)。
けど、日本のサッカーは結局できなかった。ワールドカップ本番になって私には誰も彼もが浮き足立っていて地に足が着いていないように見える。予選や強化試合でやってきた戦い方を日本において忘れてきてしまったかのようだ、それはザッケローニ監督も含めて。
何のための固定メンバーだったのか、何のための四年間だったのだろうか。
◆11:10でも変わらないサッカーの不思議
一人少ない相手に一点も取れないことは、確かにスポーツとして観ると不思議だし、日本が劣っていると言われても文句は言えない。
ただ、サッカーにおいて11:10で人数の少ないチームの方がそれを感じさせないプレーをして結果を得ることは必ずしも珍しいことではない。むしろ、よくあること(まぁ、感覚的な部分でもあるが)。人数が少なくなることで、目的意識がしっかりするためなのか、他に何らかの原因があるのかは分からないが。
日本側からいえば、退場はして欲しくなかった、というのがもしかしたら本音だったかもしれない。そもそも堅守速攻のチームが一人人数が少なくなってもやることは変わらない。カウンターで攻めるFWの数が一人減るだけ。むしろ、余計に相手のディフェンスを中央で固めた結果となり、日本としては最悪だったかもしれない。
まぁ、それでも数として一人上回っている事実は事実なので、そこを崩せないという現実が今の日本サッカーの実力を象徴しているのかもしれないが。
◆運を含め真価が問われるコロンビア戦
日本の決勝トーナメント進出はかなり厳しくなった。特に勝ち点で並ぶ可能性の高いコートジボワールとの直接対決で負けていることが大きなデメリットになっている(コートジボワールと勝ち点・得失点差で並んでしまった場合、直接対決で勝っているコートジボワールが予選を突破する仕組みになっている)。
日本が予選を突破するために必要なのはコロンビア戦での勝利。これが最低条件だ。ギリシャがコートジボワールに勝った場合は相手が大量得点でないと限り得失点差で日本の方が有利に立つが、ギリシャが堅守速攻のチームであることを考えるとそこまでの大量得点は、ギリシャが自分たちのサッカーを捨てて失点のリスクを負って出てこない限りないのでそこまでの心配はない。
ただ、コートジボワールがギリシャと引き分けた場合、日本は二点差以上の得失点差がないとコートジボワールを上回ることが出来ない。無論、コートジボワールが勝つとコートジボワールの勝ち点は6となるため日本は届かない。
本音を言えばコロンビアには負けても予選突破出来る状況が理想だったが、それは初戦敗北で消え、この戦いもスコアレスドローで終わった「総得点」の部分でも上積みは出来ていない。
だからこそ真価が問われるコロンビア戦。
まず勝たなくてはいけない。相手はFIFAランク8位。データ上ではこのグループで最も強い相手に日本は二点差以上の勝利を求められることになる。ここがそもそも問われている真価だ。一部の選手が優勝を公言してはばからないのであれば、まずこの相手に二点差以上で勝てなければならない。
次に運。ここ二試合、あまりいいところがないと言っても良いギリシャがコートジボワールに最低でも引き分け、出来れば勝利してくれるのかどうか。日本にとってはどうしようもない。ただ祈ることしか出来ない。だからこそ運。
世界トップ8に名を連ねる相手に勝つ実力と、圧倒的不利な状況に求められる強運。
仮にこの二つが揃う瞬間が25日未明にあるのだとすれば、あるいはこんな日本チームでもまだまだ上を狙うことが許されるのかもしれない。
◆個人的ガゼッタ式採点
あくまで素人目で個人的なものです。どちらかというと、自分で書いておいてあとで有識者の方の採点とを見比べて自分の見る目をさらに養うためのものなので。
チーム:5.0 勝利を求められる試合で勝てず。守備を固める相手を崩し切れないのはここ数年の課題の一つだったが、結局のその課題は何一つ克服されていないことの証明でしかない、つまらない試合だった。
GK
川島永嗣:7.0 決定的ピンチを幾度もセービング。堅守速攻を堅実にやってくるギリシャ相手に完封出来たのは彼のおかげであることは間違いない。
DF
内田篤人:7.5 前半に一つピンチを招いたが、それ以外は日本の中では最も良い出来。攻守において存在感を示し、決定機の演出し、高さで勝るギリシャ相手に唯一グラウンダーやマイナス方向へのクロスを入れるなど工夫も。もはや日本のストロングポイントは左サイドではなく右サイドである。
長友佑都:5.5 スタミナに関しては申し分ないが、攻めの意識ばかりで何度か左サイドでピンチを誘発。肝心の攻めも、一対一でのドリブルでの勝負は素晴らしいが、上がるクロスが単調過ぎて攻撃として観た時に総合的に低質なものでしかなかった。
今野泰幸:6.0 久々のスタメンだったが、大きな問題なし。カバーリングとフォローの早さのおかげで前の戦いで弱点と化した左サイドは何とか保てた。相変わらず読みの早さによるインターセプトは巧い。
吉田麻也:6.0 相手が堅守速攻だったためか、そこをしっかりと理解していて大きなミスは見られず安定していたと思う。
MF
長谷部誠:7.0 前半で相手を一人減らすなど45分しか出られなかったが仕事はしていた。それだけに、まだコンディションが良くないのかもしれないが、前半であっさり代わってしまったのはちょっと勿体ない。
山口蛍:5.5 無難な働き。だが、左サイドでお見合いになるシーンがあるなど不安も隠せない。ただコートジボワール戦よりはCBに入って両サイドを持ち上げるなど、攻めの布陣のスタートとなる役目を果たしていたと思う。
遠藤保仁:5.0 後半スタートから入ったものの、チームの攻撃の起爆剤にはならなかった。
FW
本田圭佑:4.5 期待されているボールを収める力からの司令塔としての役目はほとんど発揮されず、パス精度も全体的に良くない。先発から外れるべきは彼だったのではないか。
岡崎慎司:5.0 左サイド、そしてワントップに入って献身的に動いていたものの、やはりコートジボワール戦同様に「連動した動き」ではなく「単発の動き」なので周りと合わず。存在感はほとんど示せなかった。
大久保嘉人:5.5 シュート意識の高さとドリブルでの切り込む意識はこのチームにはなかったもの(それは良くも悪くも)。それを注入し幾度もファールでFKを得たのは意味があった。しかし内田選手のクロスはストライカーなら決めなくてはいけない。
大迫勇也:6.0 ボールがしっかりと前線で収まること、ボランチからの早い縦パスに反応して楔になれることなど今のワントップの中では安定していた。シュート意識も高い。あとは結果が残るかどうか。
香川真司:6.0 内田選手へのクロス、ドリブルを奪った瞬間のスピードなど初戦とは裏腹に創造性溢れ流れを変えられるプレーと、さらに鬼気迫るものを感じたのは収穫。ただ、後半途中出場なのに終盤には周りの選手と動きの質が変わらなくなっていたのはスタミナ不足では?
監督
アルベルト・ザッケローニ:4.0 この四年間はなんだったのか。批判を受けながらもわざわざ固定メンバーで戦っていた意図は何だったのか。もう一度思い出す必要がある。というか、思い出さないといけないようなチームでは問題しかない。
たぶん難しい理屈を考えないで、これが全てを物語ってるなぁ……と漠然と感じました
日本が勝つって心から信じてる奴?日本の勝利に賭けてる裏博打ぐらいかな(笑)