国際親善試合 日本 4 - 3 ザンビア
こ こ か ら 本 番 か ぁ ……
詳細は追記からどうぞ。
◆乱打戦を制するが
打ち合いとなったこの試合。点数的にはザッケローニ監督向けだろう。常々、「1-0で勝つより3-2で勝ちたい」というタイプの監督だ。守備を基盤にするイタリア人監督らしいところがありつつ、3-4-3という攻めをしたい形。勝ち癖という意味でも、どんな形であれ勝てたのも大きい。
とはいえ、試合内容は褒められたものではない。
前半の立ち上がり数分だけはリズムが良かったが、そこからザンビアに攻め込まれると途端に浮き足立ってしまってボールの収まりが悪くなり、生命線であるパスの精度も低下するという負のスパイラル。
攻めに転じる時間が少なく、その中で本田・香川選手のようにドリブルで持ち込み過ぎてそのまま取られるというケースが多いので全くリズムが作れない。
ゲームメイクもお世辞にも良かったとは言いづらく、本来なら当初逆転した3-2のままあるいはそこから4-2くらいで逃げ切ることが理想だったが、そこで一度は3-3と追いつかれてしまっている。そこから勝ち越し出来たからよかったものの、残り時間10分前後の試合運びの稚拙さが浮き彫りになってしまった。
◆シンプルなプレーを、シンプルにシュートを
本来、日本がやりたいことはこういうことだったのではないのか。
一つ一つのプレーに難しいことを日本はしていない。ただそのプレーに絡む際には3人、4人、5人と高い連動性があるからそこに相手チームはついていけなくなる。総合すれば高度なことは確かにやっている。でも、プレーそのものはシンプルなパスを一つ一つ確実にスペースに出して素早く積み重ねる、というものだけだ。
そこをドリブルだったり、強引に相手が守りを固める中央から攻めて崩そうとしたり敢えて難しい形でプレーをしようとしている感じは否めない。そういうときほどリズムが悪い。実際に前半と後半ではリズムがまるで違っていた。
あとはとにかくシュート。本数が少ない。先にあげたようにとにかく綺麗に崩して綺麗にゴールを奪おうとする意識ばかり先行していて実際にシュートまで持ち込めない。持ち込む前に奪われてカウンターにあっていてはW杯本番ではどうにもならない。
シュートを打たなくてはいけないという意識は遠藤・長友選手が抱いていたとも思うが、抱いていたのがポジション的に守備に重点を置く選手だったことが情けない。その意識をもっと前線の選手が持って実行してもらわないと……。
◆アフリカ勢の間合いと笛
解説でも幾度となく言われていたが、とにかくアフリカ勢の間合いの独特さが光った試合だった。ワンテンポから半テンポほどズレている。おそらく、これまで日本がアフリカ勢に弱いとされた理由は高い身体能力と同じくらい、このテンポのズレがあったのかもしれない。
まずはそこをこの試合で経験できたこと、次の試合がコートジボワールであることが利点か。
あとは笛。笛が鳴るまでプレーは止めない。そんな当たり前のことだが、香川・遠藤選手といった選手でもそれが実は出来ないことが浮き彫りになった。遠藤選手の場合は相手の違反行為に対してアピールする意味合いもあったのだろうが、あそこで点を取られていたらどうにもならないのではないか。
そんなことを考えさせられてしまった。
◆さて、初戦へ
この内容で初戦を迎えることは期待半分、不安半分というところ。
後半途中から交代した選手はおそらくコンディションと怪我防止が目的だったと思うので、岡崎選手の裂傷の治り具合も気になるがおそらく問題はないだろう。
ブラジル入りしてからの一週間でどうコンディションを上げていくかどうか。環境面ではまだ完成していない施設があるなど、むしろキャンプ地よりも環境面では劣悪な可能性もある。そういったところを踏まえて監督以下スタッフがどう整えるかがむしろ手腕を問われているかもしれない。
あとはしっかりと相手チームも研究し、最初の試合ベストの状態で臨んで欲しいと思う。
◆個人的ガゼッタ式採点
あくまで素人目で個人的なものです。どちらかというと、自分で書いておいてあとで有識者の方の採点とを見比べて自分の見る目をさらに養うためのものなので。
チーム:6.0 勝ったものの試合内容には不安・課題も多い。
GK
西川周作:4.5 ノーチャンスな失点シーンもあったが、それでも3失点は落第点。ポジション取りも拙いシーンが目立つ。
DF
内田篤人:5.0 相手が右サイドを軸に攻めてきたこともあってほぼ守り一辺倒に。後半は若干前線にも顔を出せたか。失点シーンは出来れば追いついておきたい。
長友佑都:6.0 右サイドとは逆に左サイドは割とオーバーラップしやすかったか。ただ、存在感はいつもと比べると薄かった印象。
今野泰幸:5.5 無難な出来。ビルドアップを幾度となく試みたが前半はあまり功を奏さなかった。
吉田麻也:5.5 二失点目は完全に引き出された。一人の責任ではないが、DFラインで守備の再確認を。森重選手が入ってからのビルドアップはなかなか。
森重真人:6.5 守備を無難にこなしビルドアップをし、さらにペナルティエリア付近での見事なアシスト。全体的に冷静で落ち着きがあった。
酒井宏樹:6.0 これといったマイナスもなければプラスもない感じ。せっかく出た割には得意のクロスはスピード・精度ともに欠いていたが守備では最後まで諦めない姿勢も見えた。
MF
遠藤保仁:6.0 パスはもちろんプレーにも緩急をつけていた。タイミングを見て前線にも顔を出していたが、上手くかみ合わなかったか。ただ前回に比べると決定的な仕事は出来なかったか。
山口蛍:5.0 豊富な運動量はあったものの、アフリカ勢独特の間合いを詰め切れず相手に決定的なチャンスを幾度となく許す.
青山敏弘:-.- 出場時間が短いので採点なし。しかし、ワンプレーで値千金の逆転を演出するいいボールを蹴り込んだ。前線に蹴り込む意識が薄いこのチームだと、良くも悪くも異質だが。
FW
本田圭佑:6.5 本来なら7点くらいなのかもしれないが、2得点も一つはPKだし、何より前半の出来が悪すぎ。
岡崎慎司:5.5 いろいろと動き回っていたがあまり目立たず。目立ったのは怪我のシーンだけでは……。裂傷は一日も早い回復を祈る。
香川真司:6.0 1得点も狙ったシュートではなかった。ただ、これで「ボールをゴール方向に蹴れば何があるか分からない」と認識してくれればいい。とはいえ身体はキレていたが、イージーミスが多すぎる。
柿谷曜一朗:5.0 何度か裏を狙うも成功せず。FWとして仕事は出来なかったに等しい。
大久保嘉人:6.5 ワントップでは相手CBを惹きつけ、ギリギリのラストで勝ち越しゴールを決めるなど後半45分で仕事をした。ただし、右サイドに移ってからはやや存在感が消えたのが気になる。
大迫勇也:6.0 ゴールこそならなかったが柿谷選手と比べ前線でボールが収まる分だけ二列目の動きは良かった印象。数少ないシュートチャンスを決める決定力があれば初戦先発は確定的だったか。
齋藤学:5.5 せっかくの出場もボールが回ってこなければ持ち味も出せない。ボールが回ってこなくてももっと存在感を。
監督
アルベルト・ザッケローニ:6.0 後半に立て直したのであればなかなかの仕事。あとはこの試合結果をいかに初戦にいかせるか。
Comment
Comment_form